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就業規則の改定と見直しのポイントについて社労士が解説

就業規則の改定と見直しのポイントについて社労士が解説

就業規則は作ってあればよいというものではなく、労働環境の変化や法改正対応などで定期的に見直しが必要です。この記事では就業規則の改定を行うべき理由と、改正をする際のポイント、改正のステップについて労務トレンドに詳しい社労士が解説します。

1)就業規則を定期的に改定すべき理由

就業規則を定期的に改定すべき理由のうち、大きなものを3つご紹介します。

法改正への対応のため

就業規則を定期的に改正すべき理由の1つ目は、法改正に対応した就業規則にアップデートしていく必要があるためです。
法改正は通常、労働者の権利擁護や労働市場における変化に対応するために行われます。そのため、法改正に対応する規則に修正していくことで、法令を遵守するために会社がとるべき対応・フローを検討する効果が得られます。

労働環境を時代に合ったものに適正化するため

就業規則を定期的に改正すべき理由の2つ目は、時代にあった就業環境を整え、それを明文化していく必要があるためです。
コロナ禍でテレワークが普及したり、副業・兼業での働き方を希望する労働者が増えると、それに対応したルール作りをする必要が出てきます。また、昨今はLGBTQ₊対応の規程を置いたり、手当の見直しなどを行う企業も増えています。このような時代の変化に対応するため、また思わぬトラブル防止のためにも、一定の段階で明文化して規程にしておくことが重要です。

労働者の権利擁護・保護のため

就業規則を定期的に改正すべき理由の3つ目は、改正の検討やその結果としての改正を行うことで、自社の労働者に対し法令順守の姿勢をみせることができるからです。これは良好な労働環境を整えることでもあり、自社の労働者にとって、より働きやすい職場づくりに資すると言えます。


2)就業規則の改定の際に気を付けるべきポイント

就業規則を改定する際に気を付けておくべきポイントをご紹介します。

就業環境・就労場所

在宅勤務を含めたテレワークの基準や、出張時・直行直帰時などの就労について、基準が設けられているかを見直しましょう。
例えばテレワークであれば、テレワークを可能とする場所を自宅以外にも認めるのか、またその際の就労時間の算定方法や水道光熱費の取扱いなどが論点となります。
また、出張時の残業はどのような形で認めるのか、出張中の会食費は会社負担になるのかなど、自社内で質問が寄せられる項目についても基準を定めておくと良いでしょう。

労働時間

労働者が自分で自由に就労時間を定めることができるフレックス制度や、始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げられる早出遅出勤務制度などが導入できないかを検討します。また、対象者を限定しない短時間勤務制度についても考慮しておくとよいでしょう。
長時間労働の是正のため、または適切な副業・兼業における労働時間管理の観点でも、勤務と勤務の間に一定の時間を設ける勤務間インターバルの制度を設ける企業も増えています。政府調査によると、労働者の45.5%は睡眠が6時間に満たないと回答しています。また、同調査では1週間の労働時間が長くなるにつれ、睡眠が理想より不足しているとの回答が増加しており、適切な休息の確保の観点からも労働時間を見直すことは重要です。

各種手当・賃金体系

手当は自社の価値観が色濃く出るところです。家族手当の支給対象に事実婚の配偶者を認めるかどうか、同性のパートナーを認めるかどうかといった観点からも見直しを進めましょう。また、通勤手当について在宅勤務と併用する場合にどのように算定するかなども焦点となります。
賃金の設計は同一労働同一賃金の観点からも重要な問題です。自社の基本給の性格や賃金カーブをどのように設定していくのかも含めて再考すべきタイミングで検討し、必要があれば適宜改正していく必要があります。

服務規律

就業規則は会社と労働者のルールブックですが、なかには今の社会において客観的に合理性を欠いた規定も存在する場合もあります。企業イメージを損なわないことは必要ですが、業務の内容や性質によって不合理な服務規律は適宜見直していきましょう。
また、各種ハラスメントを禁止する規定をおいて企業の姿勢を示したり、SNSへの自社情報の書き込みなど守秘義務に関する一定の規定を置くことも必要です。時代の変化に合わせて、緩めるべきところと締めるべきところのバランスを取りながら適宜内容を修正していくことが求められています。


3)就業規則の改正のステップ

就業規則の改正案を作る場合は、下記のようなステップを踏んで行うとよいでしょう。

①調査と検討

法改正情報の仕入れや時代に合わせた就労環境の整備についての情報を集め、改正にあたってどのように対応するかを検討します。
この段階で社労士に相談すれば、法改正情報の提供など適切なアドバイスが受けられるのでお勧めです。

②改正案を作り、労働者の代表者の意見を聞く

決定した方針に従い、改正案を作ります。その案をもとに労働者の代表者の意見を聞きます。手当の廃止・変更・減額など不利益改定になる場合は最終的に対象となる労働者の個別の同意が必要になるため、この段階で丁寧に意見のすり合わせをしておきましょう。
また、新設の制度については会社側の思いと労働者側の希望にずれがある場合もあるため、同じく意見聴取をしておくとよりよい改正案が作れます。

③改正案の決定版を作り、社内に周知する

改正内容について決定したら、改正後の規則の案を作り、社内に周知します。就業規則の説明会を開催したり、変更箇所について変更意図や背景、ポイントについて共有するとよいでしょう。また、不利益変更になる場合はここで個別の同意を得られるよう、丁寧に認識を合わせます。

④労働者代表の意見を添付し、変更を行う

労働者代表から最終的な意見書を記入してもらい、変更した就業規則改正案を労働基準監督署に提出します。変更した就業規則は労働者に配布またはすぐに確認できる場所に掲示するなどして周知します。


4)村井社会保険労務士事務所の就業規則の特徴

当事務所では、就業規則の改定のご相談や、記載内容の見直しのご相談を承っております。
当事務所へ就業規則の改定をご依頼いただくと、次のような観点でのご提案が可能です。

副業・兼業についての知見

当事務所の代表は副業・兼業人材を企業が受け入れる際の受入れ支援および伴走経験があり、また社内副業に関する知見もございます。
前者に関しては副業・兼業人材を受け入れるにあたって社内に整備しておくべき選考過程で聴取すべき情報、副業・兼業者向けの服務規律などを定めておくと運用がスムーズになります。
社内人材の副業・兼業に関しては禁止したい場合に禁止しうるボーダーライン、許可制の場合に自社の労働者の健康確保の観点から盛り込んでおきたい内容・制度などを就業規則に定めておくと安心です。

なお、副業・兼業人材の導入をお考えの場合は、ぜひ一般社団法人移住者バンクをご利用ください。

労務トラブルに対する知見

当事務所では中小企業の労務管理の実績があり、トラブルに発展しがちな異動・休職・解雇などの対応に強みがあります。
こうした労使間の争いについては就業規則をきちんと整備することで抑止効果が見込めたり、実際に争いが生じた場合に自社側の責任範囲・所在を明確にしておくことで自社の被害を最小限に食い止めることが可能です。
なお、よくあるトラブルやご質問については当事務所代表・村井真子が「職場問題グレーゾーンのトリセツ」(アルク、2023)にまとめております。一部抜粋記事も下記より読むことができますので、よろしければご参考ください。

LGBTQ₊についての知見

当事務所ではスタッフ全員がLGBTQ₊アライであることを掲げ、当事者の方々と企業の就労環境について助言を行っている実績があります。
そのため、無意識に固定的な男女の役割が反映されている規定についてこうしたマイノリティの観点からの意見やご提案が可能です。LGBTQ₊に関する情報や具体的な規定の変更例については下記リンクよりご参考いただけます。




5)村井社会保険労務士事務所での就業規則の改定費用

当事務所では、就業規則の改定については、おおまかに下記の費用をお見積りいただいております。

A)法改正対応・助成金対応など、最低限のご変更の場合   55,000円(税込)
B)Aに加え、企業のリスク低減・ダイバーシティ推進のためのご提案を含む場合  77,000円(税込)
C)A、Bに加え、経営者・人事労務ご担当者様のヒアリングを含めた抜本的な見直しを行う場合  110,000円(税込)

*上記はWord形式でのデータのご提供を頂ける場合の価格です。
*PDF、印刷済みの紙データしかない場合は、データ作成料としてA41枚換算550円を別途申し受けます。


当事務所へのお問い合わせはこちらから

6)就業規則を改定し、時代に即した企業になろう

就業規則の改定は、法令順守や労働環境の改善、企業の発展に資する重要なプロセスです。従業員との協力を得ながら、より良い労働環境を築くために改定を進めましょう。

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この記事を書いた人

村井 真子Murai Masako

社会保険労務士/キャリアコンサルタント。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所などでの行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。

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