パワハラ防止法により社内相談窓口を設置する企業は増えているものの、その実効性は乏しい現実があります。本記事ではパワハラに関する相談の現実を踏まえつつ、労働者が相談できない理由を心理面と制度面から解説。実効性ある対策を社労士の立場からご提案します。
1)パワハラに関する相談の現状
職場におけるパワー・ハラスメント(パワハラ)は、依然として多くの労働者を悩ませている深刻な問題です。また、組織の側から見てもパワハラは退職や休職など直接的な生産性低下につながるほか、最悪の場合社員を死に至らしめるものとして対策が急務になっています。しかし、その第一歩となる相談窓口の体制整備や機能の有効化には、いまだ大きな課題があることも事実です。
ある民間会社の調査では、回答者全体の6割が「自身がパワハラを経験した」もしくは「他の人がされているのを見た」と答えています。また、同調査では「パワハラを受けたとき、どう対処したか」という質問では、回答者の半数近くが「何もしなかった」と回答しました。
参照:職場でのパワハラ実態調査|ベンナビ労働問題
また、別な調査では、ハラスメントを受けた経験がある人のおよそ半数(48.9%)が継続的かつ定期的に被害を受けていることが明らかになっていますが、一方で、そうした被害を誰かに「相談している」人は決して多くないという調査結果になっています。こちらの調査でも「誰にも相談していない」が最多の45.5%を占め、次いで「社内の信頼できる人に相談した」が26.6%、「家族または配偶者や親族に相談した」が23.2%と続く結果になりました。直接加害者に「話した」という回答は12.9%にとどまっており、一度パワハラだと感じるような自体が生じてしまって以後は当事者間での話し合いでの解決は望めない現実が浮き彫りになっています。
参照:2023年 ハラスメント実態調査|Job総研
こうした状況からは、パワハラ被害を受けたと感じた時点で組織が解決してくれることを期待しておらず、一人で退職を選択する労働者の姿が浮かび上がります。
パワハラ防止法の改正施行により企業には相談窓口の設置が義務付けられましたが、単に窓口を設置しただけでは被害者はなかなか声を上げられないのが実情です。その背景には、被害者の心理的ハードル、職場の文化的要因、制度上の課題が複雑に絡み合っています。
ある民間会社の調査では、回答者全体の6割が「自身がパワハラを経験した」もしくは「他の人がされているのを見た」と答えています。また、同調査では「パワハラを受けたとき、どう対処したか」という質問では、回答者の半数近くが「何もしなかった」と回答しました。
参照:職場でのパワハラ実態調査|ベンナビ労働問題
また、別な調査では、ハラスメントを受けた経験がある人のおよそ半数(48.9%)が継続的かつ定期的に被害を受けていることが明らかになっていますが、一方で、そうした被害を誰かに「相談している」人は決して多くないという調査結果になっています。こちらの調査でも「誰にも相談していない」が最多の45.5%を占め、次いで「社内の信頼できる人に相談した」が26.6%、「家族または配偶者や親族に相談した」が23.2%と続く結果になりました。直接加害者に「話した」という回答は12.9%にとどまっており、一度パワハラだと感じるような自体が生じてしまって以後は当事者間での話し合いでの解決は望めない現実が浮き彫りになっています。
参照:2023年 ハラスメント実態調査|Job総研
こうした状況からは、パワハラ被害を受けたと感じた時点で組織が解決してくれることを期待しておらず、一人で退職を選択する労働者の姿が浮かび上がります。
パワハラ防止法の改正施行により企業には相談窓口の設置が義務付けられましたが、単に窓口を設置しただけでは被害者はなかなか声を上げられないのが実情です。その背景には、被害者の心理的ハードル、職場の文化的要因、制度上の課題が複雑に絡み合っています。
2)被害者が相談をためらう心理的要因
ここからは連合が実施した「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」の結果をもとに、パワハラ被害者が相談に踏み切れない代表的な心理的理由について見ていきます。
参照:仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021|連合
参照:仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021|連合
報復への恐れ
加害者に訴えたことが知られた場合に、仕返しされるのではないかという強い不安から相談をためらう心理が働いて相談ができなくなる現状があります。
「相談内容が加害者本人に伝わり、さらに嫌がらせを受けるのが怖い」という声は少なくなく、社内相談を躊躇する最大の理由の一つがこの報復不安だと指摘されています。特に男性被害者では「相手の仕返しが怖いから」という理由で相談を諦めた割合が女性より高いとのデータもあります。
「相談内容が加害者本人に伝わり、さらに嫌がらせを受けるのが怖い」という声は少なくなく、社内相談を躊躇する最大の理由の一つがこの報復不安だと指摘されています。特に男性被害者では「相手の仕返しが怖いから」という理由で相談を諦めた割合が女性より高いとのデータもあります。
恥や周囲の目への不安
「こんなことで弱音を吐くのは恥ずかしい」「周囲に知られたら職場に居づらくなるのでは」という思いも被害者を躊躇させます。
実際、相談をしなかった人の6.4%は「世間体が悪く、周囲と付き合いづらくなるから」と回答しており、被害を訴えることで自分の評価が下がったり噂になったりすることへの恐怖心がうかがえます。被害者自身が「パワハラを受けた」と打ち明けること自体に精神的抵抗を感じ、恥や自己嫌悪感を抱くケースもあります。
実際、相談をしなかった人の6.4%は「世間体が悪く、周囲と付き合いづらくなるから」と回答しており、被害を訴えることで自分の評価が下がったり噂になったりすることへの恐怖心がうかがえます。被害者自身が「パワハラを受けた」と打ち明けること自体に精神的抵抗を感じ、恥や自己嫌悪感を抱くケースもあります。
相談による二次的な不快感やストレス
ハラスメント被害を改めて誰かに話すこと自体が被害者にとって心理的負担となります。
連合の調査では、相談しなかった理由の26.4%が「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」でした。上司や人事に相談しても取り合ってもらえなかったり、話したことでかえって嫌な思いをする(例えば「気にしすぎだ」と言われる等)リスクを感じて、最初から諦めてしまうケースです。
また、自分の受けた仕打ちを言葉にすること自体がトラウマの再現となり、精神的に辛いという側面もあります。
連合の調査では、相談しなかった理由の26.4%が「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」でした。上司や人事に相談しても取り合ってもらえなかったり、話したことでかえって嫌な思いをする(例えば「気にしすぎだ」と言われる等)リスクを感じて、最初から諦めてしまうケースです。
また、自分の受けた仕打ちを言葉にすること自体がトラウマの再現となり、精神的に辛いという側面もあります。
自己への批判・問題の矮小化
被害者の中には「自分にも非があるのではないか」「自分さえ我慢すれば大事にするほどのことではない」と考えてしまう人もいます。実際、「自分さえ我慢すれば、相談するほどのことではないと思ったから」と相談を思いとどまった人は21.4%に上りました。パワハラの被害者は加害行為によって自己評価を下げられている場合も多く、「自分が情けないせいだ」と自責の念を抱え、声を上げることを諦めてしまうことがあります。
このように被害者の心理面で、報復不安や恥辱感、再度傷つくことへの恐れ、自責感情などが複合的に作用し、相談のハードルを高くしています。
このように被害者の心理面で、報復不安や恥辱感、再度傷つくことへの恐れ、自責感情などが複合的に作用し、相談のハードルを高くしています。
3)声を上げにくい職場文化の問題

被害者の心理的ハードルに加え、職場の文化や人間関係もパワハラ相談の難しさに影響しています。
加害者が上司であるケースの多さ
パワハラはその性質上、職務上優位に立つ者から行われることが多く、被害者にとって加害者は自分の上司である場合が大半です。前掲の連合の調査でもパワハラ行為者の77.5%が「上司」でした。相手が自分の評価や人事権を握る上司では、部下が異議を唱えたり被害を訴えたりするのは非常に勇気が要ります。
日本的な上下関係の中で「上司に楯突く」行為とみなされかねず、報復だけでなくキャリアへの悪影響も心配して泣き寝入りするケースが少なくありません。
日本的な上下関係の中で「上司に楯突く」行為とみなされかねず、報復だけでなくキャリアへの悪影響も心配して泣き寝入りするケースが少なくありません。
「声を上げづらい」風土と同調圧力
職場全体にハラスメントを指摘しづらい空気があることも問題です。
たとえば「新人のくせに生意気だ」「揉め事を起こすな」といった同調圧力や、長時間労働や叱責が当たり前になっている風土では、被害を訴えること自体がタブー視されがちです。周囲の同僚も傍観したり、「自分も我慢しているのだからあの人も耐えるべき」という雰囲気があると、被害者は孤立を恐れて声を上げにくくなります。
また、「ハラスメントくらいで弱音を吐くのは情けない」という根強い意識が組織にあると、被害者は相談によって自分が職場で浮いてしまうのではという不安を抱えてしまいます。
たとえば「新人のくせに生意気だ」「揉め事を起こすな」といった同調圧力や、長時間労働や叱責が当たり前になっている風土では、被害を訴えること自体がタブー視されがちです。周囲の同僚も傍観したり、「自分も我慢しているのだからあの人も耐えるべき」という雰囲気があると、被害者は孤立を恐れて声を上げにくくなります。
また、「ハラスメントくらいで弱音を吐くのは情けない」という根強い意識が組織にあると、被害者は相談によって自分が職場で浮いてしまうのではという不安を抱えてしまいます。
企業への不信感と諦念
「どうせ相談しても会社は何もしてくれない」という諦めの気持ちも、職場文化に根付いた問題です。ある調査では相談をしなかった人の実に66.4%が「相談しても無駄だと思ったから」と回答しています。これは裏を返せば、それだけ企業の対応に対する不信感があることを意味します。実際、厚生労働省の最新調査によれば、労働者からパワハラ被害の相談や報告があった後の企業対応として「特に何もしなかった」が最も多く、全体の53.2%にも上りました。
参照:職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要|厚生労働省
加害者が管理職など自分より上位職だと社内でかばわれて処分されない、相談しても問題が揉み消されてしまう、と社員が感じていれば、声を上げようとは思えません。
そのような企業文化では「黙って耐えるしかない」という諦念が広がり、被害者はなおさら相談に踏み切れなくなってしまいます。
参照:職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要|厚生労働省
加害者が管理職など自分より上位職だと社内でかばわれて処分されない、相談しても問題が揉み消されてしまう、と社員が感じていれば、声を上げようとは思えません。
そのような企業文化では「黙って耐えるしかない」という諦念が広がり、被害者はなおさら相談に踏み切れなくなってしまいます。
ハラスメント対策の周知不足
多くの企業でパワハラ防止法への対応として相談窓口が設置されていますが、現場への周知・啓発が不十分なケースもあります。
連合の調査では「職場でパワハラ防止の方針の明確化や周知啓発が何も行われていない」との回答が40.0%に上りました。このように会社からハラスメント禁止のメッセージが発信されていなかったり、相談ルートや対策が社員に浸透していなかったりすると、被害者は「社内に相談しても変わらない」と感じてしまいます。このように会社側が本気で対策しているかどうかが社員には伝わっており、対策が不透明な職場では相談が抑制される文化になりがちです。
連合の調査では「職場でパワハラ防止の方針の明確化や周知啓発が何も行われていない」との回答が40.0%に上りました。このように会社からハラスメント禁止のメッセージが発信されていなかったり、相談ルートや対策が社員に浸透していなかったりすると、被害者は「社内に相談しても変わらない」と感じてしまいます。このように会社側が本気で対策しているかどうかが社員には伝わっており、対策が不透明な職場では相談が抑制される文化になりがちです。
4)制度面における課題(相談窓口・匿名性・相談後の不利益など)
被害者が安心して相談できるような制度設計の課題も指摘されています。相談窓口を用意すればそれで解決というわけではなく、その運用方法や事後対応に課題が残っている場合、被害者は制度を信用できません。
相談窓口の実効性と信頼不足
前述のように、せっかく設置した相談窓口を利用する社員はごくわずかです。その一因として、窓口の運用方法に問題があるケースがあります。
例えば「社内相談窓口の電話番号はあるが、それが社内のどこ(誰)につながるか不明」という企業も少なくありません。
人事部の代表電話にかける形式では結局誰が対応するか分からず、相談者にとって敷居が高くなってしまいます。「誰が電話に出るか分からない状態では安心して相談できない」のは言うまでもなく、対応者の氏名や資格、守秘義務について社内に明示しておくことが重要です。窓口担当者への信頼や相談体制に対する社員の納得感が得られていないと、制度があっても機能しません。
例えば「社内相談窓口の電話番号はあるが、それが社内のどこ(誰)につながるか不明」という企業も少なくありません。
人事部の代表電話にかける形式では結局誰が対応するか分からず、相談者にとって敷居が高くなってしまいます。「誰が電話に出るか分からない状態では安心して相談できない」のは言うまでもなく、対応者の氏名や資格、守秘義務について社内に明示しておくことが重要です。窓口担当者への信頼や相談体制に対する社員の納得感が得られていないと、制度があっても機能しません。
匿名性の欠如と情報漏えいへの不安
相談しても結局社内で自分の身元や相談内容が漏れてしまうのではないか、という不安も被害者の足を鈍らせます。特に加害者が社内にいる場合、内部の相談ルートでは完全な匿名性を保つことは難しく、調査過程で加害者本人に知られてしまうリスクがあります。
「上司に筒抜けになるのが恐ろしくて誰にも相談できない」という切実な声があるように、相談内容が加害者に伝わり報復される不安は社内相談をためらう大きな理由です
実際には労働施策総合推進法で「労働者がパワハラの相談をしたこと等を理由に不利益な取り扱いをしてはならない」旨が定められており、会社が報復を行えば違法ですが、被害者側からすれば会社がちゃんと守ってくれる保証が見えない限り安心できません。
相談者の匿名保護や情報管理の徹底が不十分だと感じれば、制度があっても利用されないのは当然と言えます。
「上司に筒抜けになるのが恐ろしくて誰にも相談できない」という切実な声があるように、相談内容が加害者に伝わり報復される不安は社内相談をためらう大きな理由です
実際には労働施策総合推進法で「労働者がパワハラの相談をしたこと等を理由に不利益な取り扱いをしてはならない」旨が定められており、会社が報復を行えば違法ですが、被害者側からすれば会社がちゃんと守ってくれる保証が見えない限り安心できません。
相談者の匿名保護や情報管理の徹底が不十分だと感じれば、制度があっても利用されないのは当然と言えます。
相談後の対応への不安(不利益取り扱いなど)
被害を相談した後、自分に不利益が及ぶのではという懸念も制度面の重大な課題です。
例えば、「相談したら部署異動させられた」「加害者はお咎めなしで自分だけ配置転換になった」といった事態があれば、社員の間に不信が広がります。残念ながら「被害者を別部署に異動させて収める」という対応は過去にはしばしば見られました。しかしそれでは「この会社は加害管理職を守って被害者を報わない」という誤ったメッセージを発し、従業員の落胆や絶望感を招いてしまいます。適切な制度運用とは、相談した社員が不利益を被らないよう守ることと、申し立て内容を公正に調査し事実であれば加害者に然るべき処分を行うことです。
ところが、社内規定で形式上「報復禁止」「不利益取り扱い禁止」を謳っていても、それが現実に守られる保証がなければ被害者は安心して相談できません。制度面での不備——例えば相談後に被害者のケアがなかったり、加害者への対処が甘かったりする前例——があると、「結局相談しても自分が損をするだけ」と社員に思わせてしまい、相談行動を抑制します。
以上のように、心理・文化・制度の各側面で多くのハードルがあるため、パワハラ被害者は相談に踏み出しにくいのです。この現状を踏まえ、企業は単に相談窓口を形だけ設置するだけでは不十分であり、実効性ある対策を講じて職場環境そのものを整備していくことが求められます。
例えば、「相談したら部署異動させられた」「加害者はお咎めなしで自分だけ配置転換になった」といった事態があれば、社員の間に不信が広がります。残念ながら「被害者を別部署に異動させて収める」という対応は過去にはしばしば見られました。しかしそれでは「この会社は加害管理職を守って被害者を報わない」という誤ったメッセージを発し、従業員の落胆や絶望感を招いてしまいます。適切な制度運用とは、相談した社員が不利益を被らないよう守ることと、申し立て内容を公正に調査し事実であれば加害者に然るべき処分を行うことです。
ところが、社内規定で形式上「報復禁止」「不利益取り扱い禁止」を謳っていても、それが現実に守られる保証がなければ被害者は安心して相談できません。制度面での不備——例えば相談後に被害者のケアがなかったり、加害者への対処が甘かったりする前例——があると、「結局相談しても自分が損をするだけ」と社員に思わせてしまい、相談行動を抑制します。
以上のように、心理・文化・制度の各側面で多くのハードルがあるため、パワハラ被害者は相談に踏み出しにくいのです。この現状を踏まえ、企業は単に相談窓口を形だけ設置するだけでは不十分であり、実効性ある対策を講じて職場環境そのものを整備していくことが求められます。
5)相談窓口だけでは不十分:職場環境の包括的整備と社労士の役割

パワハラ相談の障壁を取り除くには、企業文化の改革と制度面の強化を両輪で進める必要があります。ただ窓口があるだけでは被害者の沈黙は破れないため、企業は積極的に「相談しやすい職場」を作り込まねばなりません。その際、専門家である社会保険労務士(社労士)を活用することも有効です。
以下、企業に求められる具体的な取り組みと、社労士が貢献できるポイントを整理します。
以下、企業に求められる具体的な取り組みと、社労士が貢献できるポイントを整理します。
相談しやすい制度の構築
まず、社員が安心して利用できる相談体制を整えることが肝心です。相談窓口の担当者・対応フローを明示し、プライバシー保護と匿名性を最大限尊重する仕組みを整備します。
例えば、希望者が匿名で相談できる外部窓口(第三者機関)を設置したり、社内ではなく社労士や弁護士など外部の専門家が相談対応を担う 社外相談窓口 を導入する企業も増えています。外部の相談ルートであれば社内の人間関係に左右されず、守秘性が高いため従業員も利用しやすくなります。実際、パワハラ問題の解決には第三者による公正な調査・対応が極めて重要であり、社内では言い出しにくいことも 社労士など外部の専門家が介入することで当事者が安心して事実を話せる環境を整えられる などのポジティブな影響があります。
こうした仕組みにより「社内で相談したら相談内容が漏れてしまうのでは」という不安を和らげ、制度への信頼性を高めることができます。なお、顧問社労士に相談する場合は経営者よりの立場になることを理解したうえで相談する必要があることに留意してください。
例えば、希望者が匿名で相談できる外部窓口(第三者機関)を設置したり、社内ではなく社労士や弁護士など外部の専門家が相談対応を担う 社外相談窓口 を導入する企業も増えています。外部の相談ルートであれば社内の人間関係に左右されず、守秘性が高いため従業員も利用しやすくなります。実際、パワハラ問題の解決には第三者による公正な調査・対応が極めて重要であり、社内では言い出しにくいことも 社労士など外部の専門家が介入することで当事者が安心して事実を話せる環境を整えられる などのポジティブな影響があります。
こうした仕組みにより「社内で相談したら相談内容が漏れてしまうのでは」という不安を和らげ、制度への信頼性を高めることができます。なお、顧問社労士に相談する場合は経営者よりの立場になることを理解したうえで相談する必要があることに留意してください。
「声を上げやすい」企業文化の醸成
ハラスメントを許さず被害報告を受け止める企業文化を育てることも不可欠です。
経営トップから明確に「ハラスメントは容認しない」「相談した社員に不利益は絶対に与えない」とメッセージを発信し続けることで、社員に安心感を与えます。
定期的な研修や啓発活動を通じて全従業員にパワハラ防止の方針と相談ルートを周知徹底しましょう。前述の通り、自社のハラスメント対策について社員の認知度が高い企業ほど実際のハラスメント発生率が低いという調査結果もあります。裏を返せば、社員一人ひとりが「何かあれば相談してよいし、会社はきちんと対応してくれる」と信じられる風土がハラスメントそのものの抑止にもつながるのです。さらに、社内で相談があったケースの解決事例や、対策の進捗をオープンに共有することも有効でしょう。
「過去に相談があり会社が適切に対処した」という実績が示されれば、従業員の会社への信頼度が上がり、早い段階で相談して問題を解決しようという心理的安全性が高まります。
経営トップから明確に「ハラスメントは容認しない」「相談した社員に不利益は絶対に与えない」とメッセージを発信し続けることで、社員に安心感を与えます。
定期的な研修や啓発活動を通じて全従業員にパワハラ防止の方針と相談ルートを周知徹底しましょう。前述の通り、自社のハラスメント対策について社員の認知度が高い企業ほど実際のハラスメント発生率が低いという調査結果もあります。裏を返せば、社員一人ひとりが「何かあれば相談してよいし、会社はきちんと対応してくれる」と信じられる風土がハラスメントそのものの抑止にもつながるのです。さらに、社内で相談があったケースの解決事例や、対策の進捗をオープンに共有することも有効でしょう。
「過去に相談があり会社が適切に対処した」という実績が示されれば、従業員の会社への信頼度が上がり、早い段階で相談して問題を解決しようという心理的安全性が高まります。
被害者保護と公正な対応の徹底
いざハラスメントが発生した際に企業がどう動くかも、職場環境改善の重要なポイントです。
被害の訴えがあったら速やかに事実調査を行い、加害行為が確認された場合は厳正に対処する姿勢を貫く必要があります。特に加害者が管理職であるケースでは、「代わりがいないから」と不問にしたり被害者を異動させるといった対応は厳禁です。それでは社員に「管理職は処分されないのか」「会社は本気で取り組んでいない」と受け取られ、組織への失望感を招いてしまいます。むしろ行為者側を然るべき処遇(懲戒や配置転換等)に付すことで、会社の本気度を示し再発防止につなげることができます。
また、相談者・協力者への報復を絶対に許さない体制も周知しましょう。法的にも相談を理由とした解雇・降格等の不利益取り扱いは禁止されており、違反すれば企業は行政指導や罰則を受ける可能性があります。被害者のメンタルケアや、再発防止策の社内展開も含め、「相談したらきちんと問題が解決し、職場が改善する」という成功体験を積み重ねることが大切です。そのためには企業内に明確なルールを設けておくだけでなく、実際の運用において公正・迅速・透明な対応を取ることが求められます。
被害の訴えがあったら速やかに事実調査を行い、加害行為が確認された場合は厳正に対処する姿勢を貫く必要があります。特に加害者が管理職であるケースでは、「代わりがいないから」と不問にしたり被害者を異動させるといった対応は厳禁です。それでは社員に「管理職は処分されないのか」「会社は本気で取り組んでいない」と受け取られ、組織への失望感を招いてしまいます。むしろ行為者側を然るべき処遇(懲戒や配置転換等)に付すことで、会社の本気度を示し再発防止につなげることができます。
また、相談者・協力者への報復を絶対に許さない体制も周知しましょう。法的にも相談を理由とした解雇・降格等の不利益取り扱いは禁止されており、違反すれば企業は行政指導や罰則を受ける可能性があります。被害者のメンタルケアや、再発防止策の社内展開も含め、「相談したらきちんと問題が解決し、職場が改善する」という成功体験を積み重ねることが大切です。そのためには企業内に明確なルールを設けておくだけでなく、実際の運用において公正・迅速・透明な対応を取ることが求められます。
社労士による専門的サポートの活用
上記のような職場環境整備において、社会保険労務士(社労士)は心強いパートナーとなりえます。
社労士は労働法規や労務管理の専門家であり、企業内のハラスメント防止策の構築・運用に幅広く貢献できます。具体的には、就業規則やハラスメント防止規程の整備、相談窓口運用のアドバイス、管理職研修や従業員向け啓発研修の実施支援などが挙げられます。さらに、社労士にハラスメントの相談対応や調査を委託することも可能です。
外部の社労士が関与することにより、社内だけでは進みにくい問題解決に向けた土台が築かれます。実際、社労士による中立的な調査・助言はパワハラ問題の円満な解決のみならず、企業全体の風通しを良くし職場環境の改善に寄与することが期待できます。社労士は最新の法令知識を踏まえ、企業の実情に即した実効性の高い制度設計や運用改善を提案できます。企業内に専門部署がない中小企業でも、社労士を活用することで 「外部の目」で職場環境を点検・改善し、ハラスメントの予防と早期対応体制を構築できるのです。
社労士は労働法規や労務管理の専門家であり、企業内のハラスメント防止策の構築・運用に幅広く貢献できます。具体的には、就業規則やハラスメント防止規程の整備、相談窓口運用のアドバイス、管理職研修や従業員向け啓発研修の実施支援などが挙げられます。さらに、社労士にハラスメントの相談対応や調査を委託することも可能です。
外部の社労士が関与することにより、社内だけでは進みにくい問題解決に向けた土台が築かれます。実際、社労士による中立的な調査・助言はパワハラ問題の円満な解決のみならず、企業全体の風通しを良くし職場環境の改善に寄与することが期待できます。社労士は最新の法令知識を踏まえ、企業の実情に即した実効性の高い制度設計や運用改善を提案できます。企業内に専門部署がない中小企業でも、社労士を活用することで 「外部の目」で職場環境を点検・改善し、ハラスメントの予防と早期対応体制を構築できるのです。
6)当事務所のハラスメント対策サポート
当事務所では、企業におけるハラスメントの未然防止と実効性ある対応体制の整備を目的に、以下のサポートをご提供しております。
経営層・人事との密な連携
定期的な面談やメール・チャットツールを通じて、経営者様・ご担当者様と継続的な情報共有と迅速な意思決定をサポートいたします。
「ハラスメント未満」の段階からご相談対応
職場内の違和感や軽微なトラブルについても、会社側の立場で丁寧にヒアリングし、適切な初期対応をご提案します。
社内規定の整備や研修の実施支援
ハラスメントを助長しない組織文化づくりの一環として、実効性のある就業規則や相談対応フローの整備をご支援します。
ハラスメント研修の企画・実施
社内向けハラスメント研修において、階層縦断的な内容で職位の間の認知のずれを防止することを主眼にしたプログラムを提供しています。また、業界ごと、企業規模ごとなど当事者意識を持ちやすい事例を用いたカスタマイズも可能です。
柔軟な契約形態
7)当事務所のハラスメント対応活用事例

■男性上司から男性部下に対するパワハラのヒアリング
部下から「日常的な叱責が精神的に辛い」との相談があり、当事務所がヒアリングを実施。事実の確認を行うことで、双方から指導に関する認識差があることを明確化しました。上司には改善のためのフィードバックを行い、過度な指導を抑止する指導プランを企業と共有しました。
■男性上司から女性部下に対するセクハラ混在型のパワハラ対応
女性社員からの申告に対し、当事務所が被害者の心情に十分配慮した聞き取りを実施しました。性別による上下関係が背景にある点を踏まえ、再発防止と職場環境改善を目的とした報告書を企業に提出。相談者の意向も尊重しつつ、穏便かつ的確な対応に繋げました。
■社内向けハラスメント研修の改善支援
従来の一斉型(横断型)研修では管理職と一般社員でハラスメント認識に差があったため、当事務所が階層別(縦断型)研修へ再設計を提案・実施。管理職には責任と対応義務を中心に、一般社員には相談方法と守られる権利を明示し、社内での認識統一を図りました。
当事務所では企業規模や業種を問わず、貴社の実情に即した現実的な対策をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
部下から「日常的な叱責が精神的に辛い」との相談があり、当事務所がヒアリングを実施。事実の確認を行うことで、双方から指導に関する認識差があることを明確化しました。上司には改善のためのフィードバックを行い、過度な指導を抑止する指導プランを企業と共有しました。
■男性上司から女性部下に対するセクハラ混在型のパワハラ対応
女性社員からの申告に対し、当事務所が被害者の心情に十分配慮した聞き取りを実施しました。性別による上下関係が背景にある点を踏まえ、再発防止と職場環境改善を目的とした報告書を企業に提出。相談者の意向も尊重しつつ、穏便かつ的確な対応に繋げました。
■社内向けハラスメント研修の改善支援
従来の一斉型(横断型)研修では管理職と一般社員でハラスメント認識に差があったため、当事務所が階層別(縦断型)研修へ再設計を提案・実施。管理職には責任と対応義務を中心に、一般社員には相談方法と守られる権利を明示し、社内での認識統一を図りました。
当事務所では企業規模や業種を問わず、貴社の実情に即した現実的な対策をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
8)パワハラを安心して相談できる組織風土へ
「パワハラの相談がなぜ難しいのか」を考えると、被害者の内面にある恐怖や羞恥心、職場に蔓延する沈黙の空気、そして制度の不備や信頼性の欠如といった複合要因が浮かび上がります。だからこそ企業は、単に相談窓口を設けただけで満足せず、文化的にも制度的にも安心して声を上げられる職場づくり に取り組まねばなりません。その実現には経営陣のコミットメントと従業員への継続的な働きかけが不可欠ですが、社労士はそのプロセスを専門知識で支える頼れる存在です。社員が報復や恥を恐れずに問題を共有でき、それに対して組織が迅速かつ適切に対応できる職場環境を整えること——それがパワハラ防止法への真の対応策であり、ひいては従業員が安心して働ける健全な職場風土の構築につながるのです。



