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シフト制と4週4休制(変形休日制)の違いを解説

シフト制と4週4休制(変形休日制)の違いを解説

働き方が多様化する現在、シフト制、変形休日制、また様々な変形労働時間制が活用されています。この記事ではその中でも特に誤解の多い「4週4休制とシフト制の関係」に焦点を当て、社労士が解説します。

シフト制や4週4休制に関するご相談事例

当事務所へ寄せられるご相談には様々なものがありますが、そのなかでも働き方に関するご質問は数多く寄せられます。

「シフト制で運用しているけど、法律上は大丈夫なのか?」
「4週4休制とシフト制って同じなの?それとも別物?」
「変形労働時間制とどう違うのか、正直よくわからない」

人事労務担当者から、このような質問を受けることは少なくありません。特に小売業やサービス業、病院や介護施設のように土日も稼働し、24時間体制をとる現場では、勤務割の方法や休日の付与の仕方は会社運営に直結する重要なテーマです。

しかし「シフト制」「変形休日制」「変形労働時間制」といった用語は、それぞれ意味も根拠条文も異なります。にもかかわらず、実務上は混同されやすく、曖昧な理解のまま制度設計してしまうことで、後になって労基署の是正指導を受けたり、労使トラブルに発展したりするケースもあるため、制度導入にきちんと理解・周知しておくことが重要です。


1)シフト制とは?― 法律の定義と実務上の位置づけを解説

シフト制は「労務管理の方法」

人手不足や労働者のニーズの多様化、季節的な需要の繁閑への対処などを背景として、主に非正規労働者(パートタイム労働者・アルバイト労働者)などについて、労働日や労働時間を一定期間ごとに調整し、特定するような働き方が取り入れられています。調整・特定するための勤務表をシフト表と呼び、多くの場合労働者自身の希望と会社の人員配置希望によって調整され、1か月・1週間などの期間ごとに作成して運用されています。

このような働き方をシフト制と言いますが、シフト制には「法律上の定義」がありません。
具体的には、下記のようなものが該当します。


・契約時点では、「週4日勤務・1日6時間」「週30時間」など大枠で就労時間を決めるにとどまり、実際にいつどの時間帯に働くかは、シフト表が出て初めて確定する制度(自由シフト制)

・契約時点では、「週4日勤務・1日6時間」「週30時間」など大枠で就労時間を決めるにとどまるが、シフト作成時に自分の希望の日時で出勤する日時を指定できる制度(希望シフト制)

・契約時点で、「月・火・水曜日 9:00~15:00」などあらかじめ出勤する時間を指定されており、その契約に基づいて勤務する制度(固定シフト制)



このうち、希望シフト制は柔軟性が高く多くの企業・現場で採用されているものですが、一方で、「希望通りにシフトを組んでもらえなかった」といった不満やトラブルに発展することもあるため、運用ルールを明文化しておくことが重要です。

シフト制が向いている現場・業種

シフト制は多くの現場や業種で採用されていますが、特に下記のような現場や業種で多く利用されています。

・24時間営業など稼働時間が長い現場
・従来より交代制勤務の制度がある現場
・サービス業、医療・福祉業、運輸・物流業、コールセンターなど人手を柔軟に配置する必要がある業種

労働条件通知書・雇用契約書への記載方法

労基法第15条は、労働契約時に「始業・終業時刻、休日」を明示する義務を課しています。しかしシフト制では、固定シフト以外これらが後決めで確定・実行されるため、「シフト制による」とだけ書いた労働条件通知書や雇用契約書では不十分です。

「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項については、シフト制の場合は以下の点に留意する必要があります。

「始業及び終業の時刻」に関する事項 :
労働日ごとの始業及び終業時刻を明記するか、原則的な始業及び終業時刻を記載した上で労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等をあわせて労働者に交付するなどが必要です。なお、行政解釈では、以下の方法が推奨されています。

・勤務時間のパターンを就業規則に列挙する
・労働条件通知書に「シフト制」と併記し、直近のシフト表を交付する
・新入社員には実際のシフト例を示し、働くイメージを共有する

「休日」に関する事項 :
労働契約の締結時に休日が定まっている場合はその旨を明記する必要があります。また、具体的な曜日等が確定していない場合は、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明示しなければなりません。

2)4週4休制(変形休日制)とは?― 法律の定義と実務上の位置づけを解説

法定休日の原則と特例としての4週4休制

4週4休制は変形休日制と呼ばれる制度で、労基法第35条に根拠のあるものです。

労基法第35条は「使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。これが「週休制」の原則です。つまり通常であれば、どのような業種であっても、7日に1日は必ず休日を与えなければならないというルールです。

しかし、旅館業や製造業など、業務の都合で毎週の休日確保が難しい業種もあります。そこで、労基法では「4週間を通じて4日以上の休日を与えればよい」という変形休日制を認めているのです。

この制度を利用する場合、休日は毎週1日付与されていなくても違法にならず、4週間で4日の休日が付与されていれば構いません。極端に言えば、4週間(28日)の最後の4日間に休日を連続して与えれば、それまでの24日に一日も休日がなくても法違反にはなりません。(ただし、この場合は1日8時間、1週40時間を超えた時点から割増賃金の支払いが必要になります。)

4週4休制(変形休日制)運用の注意点

変形休日制は「休日の付与方法」を調整する制度であり、シフト制とは異なる法律上の仕組みです。しかし組み合わせて活用されることも多く、運用には一部混乱が生じているケースがあります。下記はその具体的な内容です。

・「代休」との混同
  代休は休日労働後の措置で、割増賃金が必要となる。
・「振替休日」との混同
  休日の振替は可能だが、週の労働時間が40時間を超えれば時間外労働になる。
・就業規則で休日数や取扱い方法を明記していない
  4週間の起算日を就業規則等において明らかにしておくことが必要である。

3)変形労働時間制とシフト制、4週4休制(変形休日制)の違い

変形労働時間制とシフト制、4週4休制(変形休日制)は、いずれも労務管理の柔軟性を確保するために用いられますが、それぞれ根拠条文も趣旨も異なる制度です。
実務では併用されることもありますが、同一のものではありません。

変形労働時間制の概要

変形労働時間制は、繁忙期・閑散期に応じて1日の労働時間を調整できる制度
です。いずれも、週40時間・1日8時間の原則を一定の期間において「変形」させ、その期間において「平均して週40時間・1日8時間の範囲に収まれば適法」とする仕組みで、日本では下記の4つの変形労働時間制が認められています(2025年9月現在)。

・1か月単位の変形労働時間制
・1年単位の変形労働時間制
・1週間単位の非定型的変形労働時間制
・フレックスタイム制

変形労働時間制とシフト制、4週4休制(変形休日制)の整理

それぞれの制度を整理して概観すると、下記のようになります。

・変形労働時間制
繁忙期・閑散期など業務量の波に対応するために、1日の労働時間を柔軟に配分する制度です。1か月単位や1年単位などがあり、平均して週40時間の法定労働時間を超えないように設計します。

・シフト制
勤務日や勤務時間を契約時に固定せず、シフト表で後決めする労務管理の方法です。希望シフトや固定シフトといった形態があり、現場運用の仕組みであって、法律上の独立した制度ではありません。

・4週4休制(変形休日制)
労基法第35条2項に基づき、毎週1回の休日を与える代わりに、4週間を通じて4日以上の休日を与えれば足りるとする休日付与の仕組みです。休日の付与ルールに関する制度であり、労働時間の配分やシフトの組み方とは切り離されています。

変形労働時間制とシフト制、4週4休制(変形休日制)を併用するケース

実務では、これらの制度を複数組み合わせるケースが多くみられます。例えば次のような例です。

1か月単位の変形労働時制+シフト制+変形休日制


病院の看護師勤務は日勤・準夜勤・夜勤といったシフトで勤務を割り振りながら、1か月単位の変形労働時間制を導入し、繁忙日と閑散日で労働時間の長短を調整することがあります。さらに休日は4週4休制で管理し、シフトに左右されやすい医療現場でも法定休日を確実に確保できるようにしています。

同様にショッピングモール内の店舗などでは、土日やセール時期は勤務時間を長めに設定し、平日は短めに抑えるといった運用が必要になります。このため従業員ごとの勤務日はシフト制で決めつつ、労働時間は変形労働時間制で調整し、休日については4週4休制を活用して繁閑の波に対応しています。

1年単位の変形労働時制+シフト制+変形休日制


製造業の交替勤務では三交替制が基本となりますが、繁忙期には長時間労働が避けられません。そこで、勤務は交替シフトで割り当てながら、1年単位の変形労働時間制を導入して年間を通じて平均的に法定時間を満たすよう調整します。休日については月によってばらつきが出るため、4週4休制を組み合わせて運用する例が多く見られます。
コールセンターでは顧客からの問い合わせ数は季節やキャンペーンによって大きく変動します。このため、年間計画に基づいて1年単位の変形労働時間制を採用し、勤務時間の割り振りはシフト制で行います。繁忙期には人員を確保し、閑散期に休日をまとめて与えるようにして、全体として4週4休制を満たす仕組みを採っています。


業種や業態によって「シフト制」「変形労働時間制」「変形休日制」をどう組み合わせるかはさまざまですが、共通しているのは「現場の実情に合わせつつ、法定の枠組みを外さないよう工夫している」という点です。

4)シフト制・4週4休制(変形休日制)の採用時に注意すべきポイント

シフト制や4週4休制は、現場に柔軟性をもたらす一方で、運用を誤ると労使間のトラブルや法違反につながりかねません。ここでは、実務上とくに注意しておきたいポイントを整理してみましょう。いざトラブルになった場合は契約書など紙の上だけでなく、現場の実態と制度のルールが一致しているかどうかが問われます。そもそもトラブルにならないよう、導入・運用など留意事項をきちんと押さえておくことが大切です。

シフト制運用・設計時の留意事項

シフト制を取り入れている職場で多いのが、シフトの確定や通知の遅れによるトラブルです。シフトが直前まで決まらなければ、労働者は家庭の予定や学業、ダブルワークなどとの調整ができません。「生活設計ができない」と不満が高まり、職場への不信感に直結します。

また、年次有給休暇の扱いにも注意が必要です。しばしば「シフトを調整して勤務日を決めているのだから、確定した勤務日に年次有給休暇を申請することはできない」と誤解されることがあります。しかしこれは明らかに違法です。労働者が有休の取得を請求した場合、会社は原則としてそれを認めなければなりません。シフト制であっても、その権利は損なわれないのです。

さらに、突発的な欠勤や業務都合によるシフト変更についても要注意です。一方的に「今日から変える」とすることは労働条件の不利益変更にあたり、トラブルの火種になります。あらかじめ変更ルールを定め、実際の運用では必ず労使双方の合意を得ることが不可欠です。

4週4休制(変形休日制)導入にあたっての留意点

4週4休制(変形休日制)で大切なのは、休日の特定や振替方法を就業規則に明示しておくことです。休日を曖昧に扱うと、後に「そもそも休みが与えられていなかったのではないか」という問題になりかねません。

また、休日を振り替えた結果、その週の労働時間が40時間を超えることがあります。この場合は当然ながら36協定の締結と割増賃金の支払いが必要です。「振替だから大丈夫」と思い込んでしまうと、割増賃金未払いという重大なリスクに直結します。

加えて、休日管理がずさんだった場合には「週休違反」として労基署から是正指導を受ける可能性もあります。休日の与え方は、単に休ませれば良いという話ではなく、帳簿やシフト表で客観的に説明できるかが重要です。

5)村井社会保険労務士事務所のサポートについて

本稿で整理したとおり、「シフト制」「変形休日制」「変形労働時間制」は、それぞれ異なる仕組みであり、正しい理解と設計が不可欠です。しかし実際の現場では、業種特性や従業員の働き方、顧客ニーズによって最適な制度は大きく異なります。
当事務所では、単なる制度解説にとどまらず、貴社の現場の実態に合わせた就労時間制度の最適な形態をご提案し、さらにその内容を反映した就業規則や労働条件通知書の整備まで一貫してサポートしています。

「制度は導入したものの、運用ルールがあいまいでトラブルが多い」
「シフト制や休日管理の仕組みを就業規則にどう落とし込めばいいのか分からない」

こうしたお悩みに対して、労務トラブル対応の経験と法的知見を活かし、安心して制度運用できる体制づくりをお手伝いします。現場の声と法令遵守のバランスを取りながら、働きやすさとコンプライアンスを両立させるサポートをご提供します。

6)適切な制度設計と運用がトラブル回避のカギ

人事労務担当者にとって、「シフト制=休日制度」「変形休日制=シフト制度」と誤解してしまうのはよくあることです。しかし本来は、シフト制は運用方法、変形休日制は休日規制の例外、変形労働時間制は労働時間配分の仕組みと、それぞれ役割が異なります。

労使トラブルの多くは、この整理があいまいなまま運用してしまうことに起因します。したがって、就業規則・労働条件通知書への明記や、シフト作成ルールの透明化、休日管理の徹底が不可欠です。

適切な制度理解と実務運用が、働きやすい職場づくりとコンプライアンスの両立につながるでしょう。







この記事を書いた人

村井 真子Murai Masako

社会保険労務士/キャリアコンサルタント。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所などでの行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。

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