企業の成長に伴い、求められる労務管理や法的義務は段階的に増えていきますが、適切に対応することでリスクを減らし、安心して事業を発展させることができます。10名・50名・100名・300名ごとの企業が守るべきポイントを紹介します。
人数カウントの基準
まず、従業員の数とは、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトも、常態として雇用している場合は人数に含まれます。
1)従業員10名以上の企業で行うべきこと

従業員数10名以上の会社では、次のような事項に対応する必要があります。
就業規則の作成・届出
常時10人以上の労働者がいる「事業場」ごとに就業規則の作成義務があります。
作成した規則については労働基準監督署へ提出、労働者へ周知する必要があります。
作成した規則については労働基準監督署へ提出、労働者へ周知する必要があります。
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の整備
人数に関わらず必要ですが、10名以上の場合は監督署の調査対象となりやすいです。
(業種により)安全衛生推進者または衛生推進者の選任

<安全衛生推進者の選任が必要な業種>
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
*それ以外の業種は、衛生推進者の選任が必要です。
選任の旨を所轄労働基準監督書に報告する必要はありません。
常時使用する労働者が10人以上になった日から14日以内に、推進者の氏名を作業場の見やすい場所に掲示するなどして労働者への周知が必要です。
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
*それ以外の業種は、衛生推進者の選任が必要です。
選任の旨を所轄労働基準監督書に報告する必要はありません。
常時使用する労働者が10人以上になった日から14日以内に、推進者の氏名を作業場の見やすい場所に掲示するなどして労働者への周知が必要です。
2)従業員50名以上の企業で行うべきこと

従業員数50名以上の会社では、次のような事項に対応する必要があります。
産業医の選任
労働安全衛生法第13条では、一定規模以上の事業場について、一定の医師のうちから「産業医」を選任し、専門家として労働者の健康管理等に当たらせることとなっています。
従業員が50人になった時点から14日以内に選任し、選任報告書を速やかに労働基準監督署へ提出しなければなりません。
従業員数 50 人以上 3,000 人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
※なお、3,001人以上では2名以上の選任が必要です。
従業員が50人になった時点から14日以内に選任し、選任報告書を速やかに労働基準監督署へ提出しなければなりません。
従業員数 50 人以上 3,000 人以下の規模の事業場 ・・・ 1名以上選任
※なお、3,001人以上では2名以上の選任が必要です。
安全管理者の選任

労働安全衛生法第11条では、一定の業種及び規模の事業場ごとに「安全管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、安全に係る技術的事項を管理させることとなっています。
安全管理者は選任後、労基署への届け出が必要です。
また、安全管理者は選任すべき事業場ごとに専属の者から選ぶ必要があります。(なお、50人規模では他業務と兼任は認められますが当該事業場に籍を置く人から選任される必要があります。)
安全管理者は選任後、労基署への届け出が必要です。
また、安全管理者は選任すべき事業場ごとに専属の者から選ぶ必要があります。(なお、50人規模では他業務と兼任は認められますが当該事業場に籍を置く人から選任される必要があります。)
衛生管理者の選任
労働安全衛生法第12条では、一定の規模及び業種の区分に応じ「衛生管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。
事業場労働者数と衛生管理者の選任数
・50人以上~200人以下 1人以上
・200人超~500人以下 2人以上
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で選任することとなっています。
衛生管理者とは、会社で働く人の健康障害や労働災害防止のために活動を行う存在であり、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
従業員が50人になったら14日以内に衛生管理者を選任し、選任報告書を労働基準監督署に提出します。よって、社内に衛生管理者の有資格者がいない場合は、従業員のどなたかがこの資格を取得する必要があります。
事業場労働者数と衛生管理者の選任数
・50人以上~200人以下 1人以上
・200人超~500人以下 2人以上
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で選任することとなっています。
衛生管理者とは、会社で働く人の健康障害や労働災害防止のために活動を行う存在であり、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
従業員が50人になったら14日以内に衛生管理者を選任し、選任報告書を労働基準監督署に提出します。よって、社内に衛生管理者の有資格者がいない場合は、従業員のどなたかがこの資格を取得する必要があります。
安全委員会の設置(製造業等で危険有害業務ありの場合)

安全委員会の設置は、製造業等で危険有害業務ありの場合に必要です。
衛生委員会の設置(毎月1回以上開催、議事録作成)
衛生委員会は毎月1回以上開催し、議事録作成が必要です。
定期健康診断結果の報告書提出
健康診断そのものは労働者が1人でも実施しますが、事業場の労働者が50人になった時点から、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務が生じます。
提出期限は、健康診断終了後1ヶ月以内が目安です。
2025年1月1日からは電子申請が原則義務化されています。
提出期限は、健康診断終了後1ヶ月以内が目安です。
2025年1月1日からは電子申請が原則義務化されています。
ストレスチェック実施(年1回)
平成27年12月から労働者が50人以上の事業場では年に1回、ストレスチェックを1年ごとに1回実施し、労働基準監督署まで報告書を提出することが義務付けられています。
ストレスチェック制度とは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、労働者自身のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
ストレスチェックを行い、その結果を労働者自身に通知することによって、ストレス状態の自覚を促し、職場の環境改善につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを主な目的としています。
下記でストレスチェックができるサービスがございます。
ストレスチェック制度とは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、労働者自身のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
ストレスチェックを行い、その結果を労働者自身に通知することによって、ストレス状態の自覚を促し、職場の環境改善につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを主な目的としています。
下記でストレスチェックができるサービスがございます。
障害者の雇用義務
障害者雇用促進法では、障害者雇用に関する企業の義務などが定められています。
2025年現在、民間企業の法定雇用率は2.5%であることから、従業員を40人以上雇用している場合に障害者雇用の義務が発生します。
2025年現在、民間企業の法定雇用率は2.5%であることから、従業員を40人以上雇用している場合に障害者雇用の義務が発生します。
3)従業員100名以上の企業で行うべきこと

従業員数100名以上の会社では、次のような事項に対応する必要があります。
産業医の選任
従業員50人以上の事業場では、産業医を選任する義務があります。
総括安全衛生管理者の選任

労働安全衛生法では、事業場を一つの適用単位として、各事業場の業種、規模等に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任を義務付けています。
一定の業種では100人以上、その他の業種では300人または1000人以上で選任の必要があります。
総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。
労働安全衛生法第10条では、一定の規模以上の事業場について、事業を実質的に統括管理する者を「総括安全衛生管理者」として選任し、その者に安全管理者、衛生管理者を指揮させるとともに、労働者の危険または健康障害を防止するための措置等の業務を統括管理させることとなっています。
一定の業種では100人以上、その他の業種では300人または1000人以上で選任の必要があります。
総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。
労働安全衛生法第10条では、一定の規模以上の事業場について、事業を実質的に統括管理する者を「総括安全衛生管理者」として選任し、その者に安全管理者、衛生管理者を指揮させるとともに、労働者の危険または健康障害を防止するための措置等の業務を統括管理させることとなっています。
安全管理者の選任

労働安全衛生法第11条では、一定の業種及び規模の事業場ごとに「安全管理者」を選任し、その者に安全衛生業務のうち、安全に係る技術的事項を管理させることとなっています。
衛生管理者の選任
事業場労働者数と衛生管理者の選任数は下記のとおりです。
50人以上~200人以下 1人以上
200人超~500人以下 2人以上
50人以上~200人以下 1人以上
200人超~500人以下 2人以上
安全委員会の設置(製造業等で危険有害業務ありの場合)
100名以上の場合も50名以上と同様に、製造業等で危険有害業務ありの場合は必要です。
衛生委員会の設置(毎月1回以上開催、議事録作成)
100名以上の場合も50名以上と同様に、衛生委員会は毎月1回以上開催し、議事録作成が必要です。
定期健康診断結果の報告書提出
100名以上の場合も50名以上と同様に、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告することが必要です。
ストレスチェック実施(年1回)
100名以上の場合も50名以上と同様に年1回のストレスチェック実施と結果報告が必要(※集団ごとの分析は努力義務)です。
障害者の雇用義務
障害者雇用促進法では、障害者雇用に関する企業の義務などが定められています。
2025年現在、民間企業の法定雇用率は2.5%であることから、従業員を40人以上雇用している場合に障害者雇用の義務が発生します。
法定雇用率を達成していない場合、「障害者雇用納付金制度」の規定に従って納付金を支払う必要があります。
障害者雇用納付金制度とは、常用労働者数が100人を超える事業者を対象に、法定雇用率が未達成の場合は納付金を徴収する制度です。
納付金額は、不足している障害者数1人につき月額5万円となります。
2025年現在、民間企業の法定雇用率は2.5%であることから、従業員を40人以上雇用している場合に障害者雇用の義務が発生します。
法定雇用率を達成していない場合、「障害者雇用納付金制度」の規定に従って納付金を支払う必要があります。
障害者雇用納付金制度とは、常用労働者数が100人を超える事業者を対象に、法定雇用率が未達成の場合は納付金を徴収する制度です。
納付金額は、不足している障害者数1人につき月額5万円となります。
次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」の策定・届出・公表
4)従業員300名以上の企業で行うべきこと

従業員数300名以上の会社では、「従業員100名以上の企業で行うべきこと」に加えて、次のような事項に対応する必要があります。
内部通報制度の整備
内部通報制度とは、社内の問題や不正行為を発見した社員が上司をとおさず、社内の窓口へ報告できる制度のことです。2022年6月に公益通報者保護法が改正され、社員数301人以上の企業に内部通報制度の整備の義務が課せられました。内部通報制度の対象となる問題は、パワハラやセクハラ、不正会計や情報漏洩など多岐にわたります。
男女間の賃金格差の開示
女性活躍推進法の省令改正に伴い、2022年7月8日から「男女賃金格差の開示義務化」が従業員数301人以上の企業を対象に義務化されました。
男女賃金格差の開示が義務化された背景には、国際的に見て日本の男女賃金格差が大きい状況を改善する狙いがあるといわれています。
この情報公表は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や自社ウェブサイトで行う必要があり、「男女の賃金の差異」は、男性賃金の平均に対する女性賃金の平均を%で示します。
「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」「全ての労働者」の3つの区分で算出する必要があります。
男女賃金格差の開示が義務化された背景には、国際的に見て日本の男女賃金格差が大きい状況を改善する狙いがあるといわれています。
この情報公表は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や自社ウェブサイトで行う必要があり、「男女の賃金の差異」は、男性賃金の平均に対する女性賃金の平均を%で示します。
「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」「全ての労働者」の3つの区分で算出する必要があります。
直近の3事業年度の各年度について、「採用した正規雇用労働者の中途採用比率」を公表
2021年4月に施行された改正労働施策総合推進法により、従業員が301人以上の企業は、おおむね年に1回「直近の3事業年度の中途採用比率」を、求職者が容易に閲覧できるかたちで公表することが義務化されました。
中途採用比率 = その年度の中途採用者数 ÷ 正規雇用労働者×100(%)
この公表は、求職者が容易に閲覧できる方法(主にインターネット)で、おおむね年1回行う必要があります。義務化の目的は、中途採用を活発化させ、労働者の多様なキャリア形成を促進することにあります。
中途採用比率 = その年度の中途採用者数 ÷ 正規雇用労働者×100(%)
この公表は、求職者が容易に閲覧できる方法(主にインターネット)で、おおむね年1回行う必要があります。義務化の目的は、中途採用を活発化させ、労働者の多様なキャリア形成を促進することにあります。
育児休業取得状況の公表義務適用拡大
育児・介護休業法では、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが、義務付けられています。
公表が必要な育児休業取得状況とは、「①男性の育児休業等の取得率」または「②男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率」のいずれかです。
公表が必要な育児休業取得状況とは、「①男性の育児休業等の取得率」または「②男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率」のいずれかです。
参照:2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が 従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます|厚生労働省
5)村井社会保険労務士事務所のサポートについて
本稿で整理したとおり、企業は従業員数に応じて、求められる労務管理や法的義務が段階的に増えていきます
当事務所では、以下のような形で企業の皆さまが安心して成長できる環境づくりをお手伝いしています。
当事務所では、以下のような形で企業の皆さまが安心して成長できる環境づくりをお手伝いしています。
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