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社労士の顧問料はいくら?相場と内訳、選び方のポイントを解説

社労士の顧問料はいくら?相場と内訳、選び方のポイントを解説

企業経営において、「人」に関する問題は避けて通れません。特に近年は、働き方改革やハラスメント対策など、労務管理を取り巻く環境は複雑化しています。

従業員が安心して働き、企業が成長していくためには、適切な労務管理が不可欠です。

そこで、企業経営のパートナーとして頼りになるのが、社労士です。

社労士は、労働社会保険諸法令や人事労務管理のエキスパートとして、企業の労務管理をサポートする専門家です。具体的には、社会保険・労働保険の手続き代行、給与計算、就業規則の作成・変更、労務相談、年金相談など、幅広い業務を担っています。

本記事では、社労士の顧問料の相場や内訳、選び方のポイントなどを詳しく解説します。

企業経営において、労務管理は非常に重要な要素です。社労士は、この労務管理に関する専門家として、企業と従業員双方にとって不可欠な役割を担っています。

具体的には、以下の2つの役割を挙げることができます。

労務管理のアドバイザー

従業員とのトラブルは、企業イメージの低下や生産性の低下に繋がることがあります。また、労働法規への違反は、企業に多大な損害を与える可能性があります。

役割内容
トラブルの未然防止就業規則の作成や見直し、社内規定の整備などを支援することで、労使トラブルを未然に防ぎます。
法改正への対応常に最新の法改正情報を把握し、企業への適切なアドバイスや就業規則の改定などを支援します。
円滑な労使関係構築従業員との良好なコミュニケーションを図るためのアドバイスや、適切な人事制度の構築を支援することで、働きやすい職場環境づくりをサポートします。
適切な労務管理の実現労働時間管理、賃金管理、安全衛生管理など、企業の労務管理が法令に則り、適切に行われているかをチェックし、問題点があれば改善策を提案します。

これらのリスクを最小限に抑えるために、社労士は労務管理の専門家として企業をサポートします。具体的には、下記のような役割を担います。これらの内容から、社労士は企業にとって、労務管理に関する「ホームドクター」のような存在と言えるでしょう。

日頃から相談しやすい関係を築いておくことで、問題が発生した際に迅速かつ的確なサポートを受けることができます。

企業と従業員を守るパートナー

企業にとって、従業員は会社の成長を支える大切な財産です。また、従業員も安心して働くことができなければ、最大限の能力を発揮することはできません。

そこで、企業と従業員双方にとって良好な関係を築き、守っていくために「社労士」という存在が重要になります。

状況企業側のメリット従業員側のメリット
労働問題発生時法令遵守を徹底し、リスクを回避できる公平な解決が期待でき、権利を守ることができる
労働環境整備従業員のモチベーション向上、生産性向上に繋がるより働きやすい環境で仕事ができる
社会保険手続き手続きの負担軽減、正確な処理安心して社会保障制度を利用できる
給与計算正確な給与計算で信頼関係を構築適正な給与を受け取ることができる

社労士は、労働法や社会保険に関する専門家として、企業と従業員の間を繋ぐ役割を担います。具体的には、以下のような場面で企業と従業員を守ってくれます。このように、社労士は企業と従業員の双方にとって、なくてはならないパートナーと言えるでしょう。

2)社労士の仕事内容

企業経営において、労務管理は非常に重要な要素です。そこで、専門家である社会保険労務士(社労士)が企業をサポートします。

社労士は、労働社会保険諸法令に基づき、複雑な手続きや書類作成、相談対応など、幅広い業務を担っています。

具体的には、以下のような業務内容があります。

  • 社会保険・労働保険手続きの代行
  • 給与計算
  • 就業規則作成・変更
  • 労務相談
  • 監査対応
  • 社員、役員等の年金請求
  • コンサルティング業務

社会保険・労働保険手続きの代行

従業員が入社・退社する際などには、社会保険・労働保険に関する様々な手続きが発生します。

これらの手続きは煩雑で、書類作成や役所への提出など、多くの時間と手間を要します。

社労士は、これらの手続きを迅速かつ正確に代行してくれます。具体的には、以下のような手続きが挙げられます。

手続きシーン社会保険労働保険
従業員の入社時健康保険・厚生年金保険の加入手続き雇用保険の加入手続き
従業員の退社時健康保険・厚生年金保険の喪失手続き雇用保険の離職手続き
労働者の怪我・病気の時傷病手当金等の請求手続き療養(補償)給付・休業(補償)給付の請求手続き
労働保険・社会保険の年度の手続き標準報酬月額の定時決定手続き労働保険料の申告・納付手続き
その他育児休業・介護休業関連手続き、出産に伴う出産手当金・標準報酬月額の手続き、給与額変更時の標準報酬月額変更手続き等労災保険給付請求手続き

これらの手続きを社労士に代行してもらうことで、企業は本来の業務に集中することができます。

また、手続きのミスや遅延を防ぎ、法令違反のリスクを軽減することにも繋がります。特に、従業員数が多い企業や、人事担当者がいない企業にとっては、社労士のサポートは大きなメリットとなるでしょう。

給与計算

給与計算は、法律や社内規則に基づいて正確に行わなければなりません。計算ミスや遅延は従業員のモチベーション低下や企業の信頼失墜につながる可能性があります。

また、給与計算には、勤怠管理、各種控除、社会保険料の計算など、複雑なプロセスが含まれます。そのため、多くの企業が、専門家である社労士に給与計算業務を委託しています。

社労士に給与計算を依頼するメリットは、主に以下の通りです。

  • 専門知識による正確な計算
  • 時間と労力の削減
  • コスト削減

就業規則作成・変更

就業規則は、会社のルールブックと言える重要なものです。従業員が安心して働くことができ、会社を守るためにも、就業規則の作成・変更は適切に行う必要があります。

就業規則の作成・変更費用は、会社の規模や事業内容、作成する就業規則の内容によって異なります。

また、各社によって費用にばらつきがあるため、ここでは弊社のケースを紹介します。

サービス内容料金(税別)
新規に作成する場合
※就業規則、賃金規程、育児介護休業規程を作成する場合
330,000円(税込)
すでにある規則を変更する場合(A)法改正対応・助成金対応など、最低限のご変更の場合55,000円(税込)
すでにある規則を変更する場合(B)Aに加え、企業のリスク低減・ダイバーシティ推進のためのご提案を含む場合77,000円(税込)
すでにある規則を変更する場合で、A、Bに加え、経営者・人事労務ご担当者様のヒアリングを含めた抜本的な見直しを行う場合110,000円(税込)

就業規則は、作成したら終わりではありません。法律の改正や社会情勢の変化に合わせて、定期的に見直し、変更していく必要があります。

就業規則の改定と見直しのポイントについては以下の記事をあわせて参考にしてください。

関連記事:就業規則の改定と見直しのポイントについて社労士が解説

労務相談

労務相談は、社労士が企業にとって重要な役割を果たす領域です。例えば、従業員の労働時間や賃金、助成金に関することなど、経営者が頭を悩ませる労務に関する課題は多岐に渡ります。

これらの課題を解決するために、社労士は専門家としての立場から適切なアドバイスやサポートを提供します。

特に、近年注目されているハラスメント対策についても、社労士は相談窓口として機能することができます。

パワハラやセクハラ、マタハラなど、様々なハラスメント問題に対し、適切な対応策をアドバイスすることで、企業のリスク管理にも貢献します。

労務相談で期待できる効果具体的な内容
労務問題の解決労働時間、賃金、助成金などに関する課題解決
従業員定着率の向上労働環境の改善による従業員の満足度向上
企業の成長労務管理の効率化、リスク管理による経営基盤の強化
ハラスメント対策相談窓口としての機能、適切な対応策のアドバイス

監査対応

顧問社労士は、労働基準監督署や年金事務所による監査への対応もサポートします。監査が入ると、企業は資料の準備や説明などに追われ、通常業務に支障をきたす可能性があります。

社労士は、日頃から適切な労務管理を行うことで監査リスクを低減するとともに、監査が入った際には企業とともに対応します。

顧問社労士が監査対応を行うメリットは次のとおりです。

メリット説明
事前準備の負担軽減普段から就業規則や労働時間の管理が適切に行われているかをチェックしてもらい、監査に備えることができます。監査時に必要な書類の準備なども行ってくれます。
企業に代わって対応監査官とのやり取りを社労士が立ち会ってくれるので、企業は通常業務に集中できます。
専門家による的確な対応法令に精通した社労士が対応することで、適切な説明や対応ができます。

これらのメリットから顧問社労士は監査対応において重要な役割を担っており、企業にとって心強い味方となります。

社員、役員等の年金請求

従業員や役員が退職を迎える際には、年金請求手続きが発生します。退職後の生活設計において重要な役割を担う年金。スムーズな請求手続きのために、社労士は必要書類の準備や手続きの代行といったサポートを提供します。

企業規模によって手続きの複雑さも変化するため、専門家である社労士の支援は心強いものとなるでしょう。

具体的には、以下のようなケースで社労士が役立ちます。

  • 従業員の老齢年金請求
  • 従業員の障害年金請求
  • 従業員の遺族年金請求
  • 役員の老齢年金請求

これらの手続きには、必要な書類の収集や複雑な手続きへの対応が求められます。社労士は専門知識に基づき、迅速かつ正確な手続きを代行します。

コンサルティング業務

コンサルティング業務では、人事・労務に関する様々な相談や指導を受けることができます。人事制度構築支援や、就業規則作成・変更、給与設計、助成金申請、メンタルヘルス対策など多岐に渡ります。

企業の状況や課題に合わせて最適な提案を受けることで、労務リスクの軽減、生産性の向上に繋がります。

特に、昨今ではハラスメント対策は企業にとって重要な課題となっており、専門家のアドバイスを受けることで、より適切な対策を講じることが可能です。

また、人事評価制度は従業員のモチベーション向上や企業の成長に大きく影響するため、社労士の知見を活かした制度設計が重要になります。

コンサルティングの内容や料金は、社労士事務所によって異なります。自社のニーズに合った社労士を選ぶことが、効果的なコンサルティングを受ける上で重要です。

3)社労士顧問料の相場

社労士顧問料は、従業員数、業務内容によって変動します。

従業員数に応じた相場

社労士顧問料の相場は、従業員数に比例する傾向があります。従業員数が増えるほど、社労士が対応する業務量も増加するためです。

ここでは、従業員数に応じた社労士顧問料の相場について解説します。

従業員規模別の社労士顧問料の相場をまとめると以下の通りです。

従業員数顧問料の相場
30人未満30,000円~
50人未満50,000円~
50人以上要相談

これらの金額は、あくまで相場です。社労士事務所によって料金設定は異なるため、複数の事務所に見積もりを依頼し、比較検討することが重要です。

なお、弊所では、労務顧問のみ、労務顧問+手続顧問(+1万円で月6枚まで書類作成可能)、スポットのみの利用が可能となっています。

業務内容に応じた相場

社労士顧問料は、依頼する業務内容によっても変動します。手続き代行のみの依頼なのか、給与計算や就業規則作成なども含む包括的な依頼なのかで料金が変わってきます。

手続き代行のみの依頼の場合、社会保険・労働保険の新規適用手続きが1件あたり約1万円~2万円、労働保険年度更新が約1万円~2万円、社会保険算定基礎届が約1万円~2万円が相場です。

給与計算業務は、従業員数1名あたり月額約1,000円~3,000円が目安となります。就業規則の作成・変更は、新規作成で約5万円~10万円、変更で約3万円~5万円程度が相場です。

顧問契約ではなく、スポットで依頼する場合、内容によっては割高になるケースもあります。

例えば、助成金の申請代行は助成金額の10~20%程度が相場です。また、労働紛争や労災発生時の対応は、1時間あたり1万円~2万円程度の費用がかかる場合もあります。

業務内容おおよその相場
社会保険・労働保険新規適用手続き10,000円~20,000円/件
労働保険年度更新10,000円~20,000円/件
社会保険算定基礎届10,000円~20,000円/件
給与計算1,000円~3,000円/人・月
就業規則作成300,000円~/件
就業規則変更30,000円~50,000円/件
助成金申請【成功報酬】
助成金額の10~20%
労働紛争・労災対応10,000円~20,000円/時間

なお、弊所では、就業規則作成と助成金は別枠ですが、他はすべて1枚15,000円(税別)で作成しています。

労務関係のコンサルティング顧問料の相場

労務関係のコンサルティングは、人事制度構築支援や就業規則作成・変更、ハラスメント対策など多岐に渡ります。そのため、コンサルティングの内容によって費用が大きく変動します。

ここでは、一般的な労務コンサルティングの費用相場について解説します。

サービス内容費用相場
人事制度構築支援200~300万円
就業規則作成・変更10万円~50万円
ハラスメント対策5万円~30万円
個別労働紛争対応(あっせん代理含む)30万円~100万円
その他労務相談1時間あたり1万円~3万円

上記はあくまでも目安であり、実際には企業規模や相談内容の難易度、社労士の専門性などによって費用は増減します。

例えば、人事制度構築支援の場合、制度設計だけでなく運用サポートまで含めると費用は高額になる傾向があります。また、弁護士と共同で対応する必要がある複雑な労働問題の場合は、弁護士費用も別途発生するため注意が必要です。

コンサルティングを依頼する際は、複数の社労士事務所に見積もりを依頼し、費用内訳やサービス内容を比較検討することが重要です。

4)社労士選びのポイント

社労士を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。これらのポイントを踏まえることで、自社に合った社労士を見つけやすくなります。

専門分野・得意分野

社労士を選ぶ際には、専門分野・得意分野を確認することが重要です。社労士は、それぞれ得意な分野や専門とする分野が異なります。企業の規模や業種、抱えている課題によって、適切な社労士も変わってきます。

例えば、以下のように専門性をもった社労士がいます。

  • 建設業に特化した社労士
  • IT企業に強い社労士
  • 助成金申請に詳しい社労士
  • 労働紛争、ハラスメント問題に強い社労士
  • 海外進出支援を得意とする社労士

自社のニーズに合った社労士を選ぶことで、より効果的なサポートを受けることができます。

経験・実績

社労士を選ぶ上では、経験と実績も重要な要素です。経験豊富な社労士は、様々な事例に対応してきた実績があり、より的確なアドバイスを期待できます。

具体的には、下記のような経験・実績を持つ社労士事務所を選ぶと良いでしょう。

経験・実績の項目詳細な説明
設立年数設立から長い年月が経過している事務所は、それだけ多くの案件に対応してきた実績とノウハウを蓄積しています。設立年数が長い事務所を選ぶことは、信頼性の指標の一つとなるでしょう。
対応してきた企業規模これまで対応してきた企業規模を確認することで、自社に適切なサービスを提供できるかどうかの判断材料になります。従業員数が数百人規模の大企業を対応してきた実績があれば、大規模な組織体制における労務管理にも精通していることが期待できます。
専門分野労務管理の分野は多岐に渡ります。そのため、自社の課題に特化した専門知識を持つ社労士を選ぶことが重要です。例えば、人事制度構築を検討しているのであれば、その分野に強い社労士を選ぶべきです。
助成金申請実績助成金の申請は複雑な手続きが必要となるため、実績豊富な社労士に依頼することで、申請の成功率を高めることが期待できます。申請実績だけでなく、実際に受給できた金額についても確認しておくと良いでしょう。

これらの項目を確認することで、自社に合った社労士を見つけることができます。

コミュニケーション能力

社労士選びで重要なポイントの一つにコミュニケーション能力があります。

社労士は、経営者や人事担当者と密に連携を取りながら、労務問題の解決や課題の改善に取り組む必要があります。そのため、円滑なコミュニケーションが取れる社労士を選ぶことは非常に大切です。

コミュニケーション能力の分類適切なコミュニケーション例
傾聴力企業の悩みや課題を丁寧に聞き取る
説明力専門用語を避け、分かりやすく説明する
提案力企業にとって最適な解決策を提案する
対応力質問や相談に迅速かつ的確に対応する

コミュニケーション能力の不足は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 誤解や認識のずれが生じ、適切な対応が遅れる
  • 信頼関係が築けず、相談しづらい雰囲気になる
  • 問題解決がスムーズに進まず、時間や費用がかかる

これらの問題を避けるためにも、社労士のコミュニケーション能力をしっかりと見極める必要があります。面談の際に、社労士の説明の分かりやすさや質問への対応、そして、自分たちの考えや気持ちを理解しようとする姿勢などを確認しましょう。

良好なコミュニケーションが取れる社労士であれば、安心して労務管理を任せられます。

料金体系の透明性

社労士を選ぶ上で、料金体系の透明性は非常に重要です。料金体系が不透明だと、後々トラブルになる可能性があります。

例えば、最初に提示された金額よりも高額な請求をされたり、追加料金が発生したりするケースです。このようなトラブルを避けるためにも、料金体系が明確な社労士を選ぶようにしましょう。

具体的には、以下の点を確認することが大切です。

・顧問料に含まれるサービス内容

基本的なサービス内容に加え、電話相談や訪問回数、書類作成、法改正への対応などどこまで料金に含まれているのか明確に確認しましょう。また、別途費用が発生するサービス内容についても事前に確認しておくことが大切です。

・費用の内訳

顧問料の内訳が明確になっているかを確認しましょう。例えば、基本料金、追加料金、交通費などがそれぞれいくらかかるのか、詳細に説明してもらうことが大切です。

・支払い方法

支払い方法についても確認しておきましょう。銀行振込、クレジットカード払いなど、対応している支払い方法や支払い時期を確認しておくことが大切です。

これらの点を事前に確認することで、料金に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

事務所規模・体制

社労士事務所を選ぶ際の重要なポイントの一つに、事務所の規模・体制があります。

規模・体制によって、対応スピードや提供サービスの幅広さが異なってきますので、自社のニーズに合った事務所を選ぶことが大切です。

社労士事務所は、大きく分けて以下の3つの規模に分類できます。

事務所規模メリットデメリット
小規模(社労士1名~数名)丁寧な対応、密なコミュニケーション対応が遅れる可能性、専門分野が限られる場合も
中規模(社労士数名~数十名)確立された専門性、迅速な対応小規模事務所と比較すると、担当者が変わりやすい
大規模(社労士数十名~)幅広い専門分野、充実したサポート体制担当者とのコミュニケーションが希薄になりやすい

小規模事務所は、社労士との距離が近く、きめ細かい対応を期待できます。一方で、担当者が不在の場合、対応が遅れる場合もあります。

中規模事務所は、複数名の社労士が在籍しているため、専門分野も広がり、迅速な対応が期待できます。

大規模事務所は、多くの専門家を擁し、多様なニーズに対応できますが、担当者とのコミュニケーションが希薄になりやすいという側面もあります。

また、会計事務所をグループ内に抱えている事務所もあります。このような事務所では、労務管理だけでなく、経理業務までワンストップで依頼できるというメリットがあります。

それぞれの規模のメリット・デメリットを理解し、自社のニーズに合った事務所規模を選択しましょう。

例えば、迅速な対応を求めるなら、中規模以上の事務所がおすすめです。小規模事務所は、じっくりと相談に乗ってほしい場合に適しています。

5)社労士との面談で確認すべき点

社労士と面談する際は、以下の点を必ず確認しましょう。

具体的なサービス内容

社労士に依頼できる具体的なサービス内容を確認することで、自社に最適なサポートを受けられるようになります。社労士のサービス内容は、手続き代行からコンサルティングまで多岐にわたります。

下記の表に主なサービス内容と、それぞれのサービス内容における具体的な業務内容の例をまとめました。

サービス内容業務内容の例
手続き代行社会保険・労働保険の新規適用、従業員の入退社に伴う手続き、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、育児・介護休業に関する手続きなど
給与計算毎月の給与計算
就業規則の作成・変更法改正への対応、会社の状況に合わせた就業規則の作成・変更
労務相談解雇、残業代、ハラスメントなどのトラブル発生時の相談、トラブル発生予防のための相談
その他助成金の申請サポート、労働基準監督署の調査への対応、年金相談

これらのサービス内容を事前に確認し、自社のニーズに合った社労士を選ぶことが重要です。

費用内訳の説明

顧問料を支払う際に、社労士には費用内訳を明確に説明してもらうことが重要です。社労士事務所によって料金体系は様々ですが、どのようなサービスにいくらかかるのかを事前に把握することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

社労士顧問料は、基本料金に加えて、オプションサービスの料金がかかる場合があります。基本料金には、通常、月次業務(給与計算、社会保険手続きなど)や、電話・メール相談が含まれています。

オプションサービスには、就業規則の作成・変更、労務相談、助成金申請サポートなどがあります。これらのサービス内容と料金を事前に確認し、自社のニーズに合った社労士事務所を選びましょう。

例えば、従業員30名以下の企業の場合、下記のような内訳で費用が発生するケースがあります。

項目金額弊所の場合
基本料金(月額/税抜)30,000円労務顧問:30,000円手続顧問:10,000円
社会保険・労働保険手続き基本料金に含む手続顧問基本料に含むスポット対応:15,000円/枚
給与計算基本料金に含む1,000円/名
電話・メール相談基本料金に含む労務顧問基本料に含む
就業規則作成・変更100,000~500,000円300,000円
就業規則作成・変更550,000円~50,000円~
労務相談(面談)10,000円~/回労務顧問報酬に含むスポット対応:15,000円/60分
助成金申請サポート成功報酬型成功報酬(受給額20%または5万円のうちいずれか高い方)

従業員数や業務内容によって費用は変動しますので、複数の社労士事務所に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

なお弊所では、労務顧問としては電話・メール相談、面談(月60分)を含みます。その他はすべて別料金で対応しており、手続顧問としては社会保険・労働保険手続を行います。

契約期間と更新

顧問契約を結ぶ際には、契約期間と更新に関する確認が重要です。契約期間は、一般的に1年間であることが多いですが、社労士事務所によっては、複数年契約を提示するところもあります。

契約期間の長短は、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社に最適な期間を選択しましょう。

契約期間メリットデメリット
短期(例:半年~1年)契約内容に不満があった場合、契約更新時に変更・解約しやすい更新の手続きが必要
長期(例:複数年)更新の手続きが不要契約内容に不満があった場合、変更・解約しにくい

更新については、自動更新なのか、更新手続きが必要なのかを確認しましょう。自動更新の場合、契約期間満了前に解約の申し出がない限り、自動的に契約が更新されます。

更新手続きが必要な場合は、契約期間満了前に社労士事務所から更新の案内があるはずです。更新時に契約内容の変更や料金の改定がある場合は、事前に確認し、納得した上で更新手続きを行いましょう。

解約条件

顧問契約を途中で解約する場合に備え、解約条件についても事前に確認しておきましょう。社労士との顧問契約は、契約期間が定められていることが一般的です。

契約期間満了前に解約する場合には、一定期間前に書面で通知する必要があります。例えば、契約期間が1年間で、解約通知期間が1ヶ月前となっている場合、契約期間満了の1ヶ月前までに解約の申し出をしなければ、自動的に契約が更新されることになります。

解約の申し出に必要な期間は契約によって異なるため、契約前に必ず確認しましょう。また、契約期間中に正当な理由なく契約を解除した場合には、違約金が発生するケースもあります。違約金の有無や金額についても、契約前に確認しておくことが重要です。

緊急時の対応

緊急時、迅速かつ的確な対応をしてもらえるかどうかは、顧問社労士を選ぶ上で重要なポイントです。

労働災害や労働紛争、従業員からの突然の退職申し出、労基署の調査など、企業活動において予期せぬトラブルは常に起こりえます。このような事態が発生した場合、企業は迅速かつ適切な対応を取らなければなりません。

顧問社労士は、このような緊急時に企業をサポートし、適切なアドバイスや対応策を提示してくれます。例えば、労働災害が発生した場合、迅速な労災保険の手続きや、再発防止策の検討などを支援してくれます。

また、労働紛争が発生した場合には、紛争解決に向けた助言や交渉の代理などを担当してくれます。緊急時の対応体制について、社労士との面談で確認すべき項目は以下の通りです。

項目内容
連絡方法電話、メール、その他
対応時間営業時間外や休日の対応
対応スピード連絡から対応までの時間
担当者誰が対応するか

これらの項目を確認することで、緊急時に安心して対応を任せられる社労士かどうかを判断できます。面談の際に、具体的な事例を挙げて対応方法を質問してみるのも良いでしょう。

迅速かつ的確な対応をしてもらえる社労士を選ぶことで、企業は安心して事業に専念できます。

6)社労士の顧問契約を検討する際の注意点

社労士と顧問契約を結ぶ際には、いくつかの注意点があります。対応の可否や得意分野、自社に合ったサービスを提供してくれるかなどを事前に確認することで、ミスマッチを防ぐことができます。

オンライン対応が可能かどうか

社労士を選ぶ際に、オンライン対応が可能かどうかは重要なポイントです。オンライン対応の可否によって、業務効率やコミュニケーションの円滑さが大きく変わる可能性があります。

従来の訪問型の社労士の場合、移動時間やスケジュール調整の手間がかかります。特に、遠方の社労士に依頼する場合、移動に時間がかかり、迅速な対応が難しい場合もありました。

一方、オンライン対応の社労士であれば、場所を選ばずに相談や打ち合わせが可能です。移動時間や交通費も削減できるため、時間と費用の節約になります。また、メールやチャットツールなどを活用することで、いつでも気軽に質問や相談ができます。

対応メリットデメリット
オンライン対応・移動時間や費用の削減
・場所を選ばずに相談可能
・迅速な対応
・対面でのコミュニケーション不足
訪問型・対面での密なコミュニケーション・移動時間や費用
・柔軟な対応が難しい

オンライン会議システムやクラウドサービスを活用することで、資料の共有や手続きもスムーズに行えます。緊急時にも迅速な対応が可能になるため、企業にとって大きなメリットとなります。

労務相談、特にハラスメントに関する相談実績があるか

社労士に労務相談をする上で、特にハラスメント相談の実績があるかは重要なポイントです。近年、ハラスメントに関する相談件数は増加傾向にあり、企業としても、適切な対応が求められています。

社労士の中には、ハラスメント相談に特化した専門家もいます。ハラスメント相談の実績が豊富な社労士であれば、問題解決に向けた具体的なアドバイスをもらえるでしょう。また、社内でのハラスメント対策研修の実施なども依頼できます。

相談実績の有無に加え、社労士がハラスメント問題にどのように取り組んでいるかを確認することも大切です。例えば、以下の質問をしてみるのも良いでしょう。

  • 過去にどのようなハラスメント相談を受けてきましたか?
  • ハラスメント問題に対して、どのような対応策を提案してきましたか?
  • ハラスメント防止のために、どのような研修プログラムを提供していますか?

これらの質問を通して、社労士のハラスメント問題への取り組み姿勢や専門性を判断することができます。

項目確認ポイント
相談実績具体的な相談件数や内容
対応策問題解決に向けた提案内容
研修プログラムハラスメント防止のための研修内容

ハラスメント問題に強い社労士を選ぶことで、企業は、従業員にとってより働きやすい環境づくりを進めることができます。

人事評価制度(特に賃金テーブル策定)と一体化した規則作成・改定ができるか

人事評価制度と賃金テーブルは、就業規則と密接に関連しています。そのため、就業規則の作成・変更を依頼する際に、人事評価制度や賃金テーブルについても相談できる社労士を選ぶことが重要です。

社労士の中には、人事評価制度や賃金テーブルの構築にも精通している専門家がいます。このような社労士であれば、就業規則との整合性を考慮しながら、効果的な人事評価制度と賃金テーブルを設計することができます。

項目説明
人事評価制度策定目標管理制度やコンピテンシー評価など、貴社に最適な人事評価制度を提案・構築
賃金テーブル策定等級・職種・年齢などを考慮し、公正で納得感のある賃金テーブルを作成
就業規則作成・変更人事評価制度や賃金テーブルと整合性のとれた就業規則を作成・変更

これらの制度を一体的に構築することで、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋がるだけでなく、労務トラブルのリスクを軽減することができます。

社労士を選ぶ際には、人事評価制度や賃金テーブルに関する実績やノウハウがあるかを確認しましょう。実績や経験が豊富な社労士であれば、貴社のニーズに合った制度構築をサポートしてくれるはずです。

7)社労士の顧問料に関するよくある質問

顧問契約を検討する際に、よくある質問とその回答をまとめました。

他士業の事務所に所属する社労士に依頼することは可能ですか?

他士業の事務所に勤務する社労士は、基本的にはその事務所が顧問契約を結ぶ企業の従業員に関する手続きしか行えません。税理士など他の士業を含め、社労士ではない者が社労士の独占業務を請け負うことも法律で禁止されています。

500人以上の企業規模の社労士顧問料はいくらですか?

従業員数が500人を超える大企業の場合、社労士顧問料は変動要素が多いため、一概にいくらとは言えません。従業員数だけでなく、事業所数、就業規則や給与規定などの整備状況、発生する相談内容の難易度、人事労務管理の体制なども考慮する必要があります。

社労士の顧問契約はなぜ必要ですか?

企業経営において、労働法や社会保険に関する法律は複雑で、常に改正が行われています。これらの法令に違反すると、企業は罰則を受けるだけでなく、従業員との信頼関係にも悪影響を及ぼします。社労士は、これらの法令に関する専門家として、企業をサポートします。

顧問契約を結ぶことで、下記のようなメリットがあります。

メリット説明
法令遵守労働基準法、社会保険法などの複雑な法令を遵守するためのアドバイスを受けられます。
問題発生の予防労使トラブルの未然防止や、発生した場合の迅速な対応を支援します。
効率的な業務処理煩雑な事務手続きをアウトソーシングすることで、担当者の負担を軽減できます。
コスト削減専門家による適切なアドバイスにより、無駄なコストの発生を防ぎます。
最新情報の入手法改正や社会情勢の変化など、常に最新の情報を得ることができ、企業経営に役立てることができます。

これらのメリットを享受することで、企業は本業に集中し、生産性向上や事業の成長に繋げることができます。顧問契約は、企業にとって、法令遵守、リスク管理、そして経営効率化のための重要な投資と言えるでしょう。

8)まとめ

社労士顧問料は、企業にとって必要な投資です。適切な社労士を選ぶことで、企業は労務管理の負担を軽減し、法令遵守を徹底し、従業員との良好な関係を築くことができます。

社労士顧問料の相場は、従業員数や業務内容によって異なります。一般的には、従業員数が多いほど、顧問料も高くなる傾向があります。

また、給与計算や社会保険手続き代行などの基本的な業務に加えて、就業規則作成や労務相談などの付加的な業務を依頼する場合も、顧問料は高くなります。

社労士の顧問契約を検討する際は、顧問契約の内容に含まれるサービス内容を詳細に確認し、自社のニーズに合致しているかを確認しましょう。 不明な点があれば、遠慮なく社労士に質問することをおすすめします。

弊所では、ハラスメント案件に詳しい社労士が統括したチームで対応しており、迅速かつ的確な問題解決を可能としています。

ハラスメントに悩まれている経営者の方や、人事労務担当者の方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

村井 真子Murai Masako

社会保険労務士/キャリアコンサルタント。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所などでの行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。

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