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【2024年10月】最低賃金50円UPへ~業務改善助成金のご案内~

【2024年10月】最低賃金50円UPへ~業務改善助成金のご案内~

中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、2024年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1,054円にすると決めました。
現在の1,004円から50円の引き上げで、上げ幅は23年度の43円を上回って過去最大となっています。
パート・アルバイトの雇用比率が高い小売業や、中小企業にとって、50円の引き上げは厳しいですが、生産性を向上させていくきっかけとしていくことが大切です。
そこで、今回は、最低賃金引き上げと設備導入をして生産性を向上する企業を応援する「業務改善助成金」をご案内いたします。
業務改善助成金は9月の賃上げでの活用がオススメです。

1)業務改善助成金のご案内

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

①制度概要

事業場内最低賃金の引上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請いただき、交付決定後に計画どおりに事業を進め、事業の結果を報告いただくことにより、設備投資などにかかった費用の一部が助成金として支給されます。
助成される金額は、生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額となります。

②対象となる企業

・中小企業・小規模事業者であること
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

③申請の流れ

① 地域別最低賃金から50円以内の従業員がいる
② 交付申請書を労働局に提出する(申請期限 令和6年12月27日)
③ 交付決定がおりる(交付申請から約1ヶ月程度)
④ ①の方の賃金を30円以上引き上げる(賃金の引上げは交付決定前でも可能です)
⑤ 生産性を向上する設備を導入する
⑥ 経費を支払う
⑦ 事業実施報告書を労働局に提出する
⑧ 助成金受給

④助成金額

助成上限額は、引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって助成上限額が変わります。
設備導入費用の75%~80%と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額となります。

⑤助成率

助成率は、申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。申請事業場の事業場内最低賃金額が900円未満又は900円以上950円未満であれば、3/4より高い助成率が受けられます。

⑥最低賃金引上げのルール

ア.全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
イ.賃金を引き上げる労働者数に応じて助成上限額が変動します。
ウ.事業場内最低賃金の者以外でも、申請コースの額以上賃金を引き上げた場合は引上げ人数にカウントされる場合があります。


2)助成額を決定づける最低賃金とは?

助成上限額は、引き上げる最低賃金額及び引き上げる労働者の人数によって変わります。
その最低賃金額とは、時間給又は時間換算額で、地域別最低賃金と比べます。
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

また、地域別最低賃金は、国が例年10月頃に改定する都道府県単位の最低賃金額をいいます。
令和5年度の都道府県ごとの地域別最低賃金は、こちらから確認ができます。

参照:令和5年度地域別最低賃金改定状況|厚生労働省

3)特例事業者とは?

以下のア、イのいずれかに該当する事業者を特例事業者とし、これらのいずれかに該当すれば、助成上限額の拡大・助成対象経費の拡大が受けられます。
(助成対象経費の拡大はイのみです。)

ア 賃金要件
事業場内最低賃金が950円未満の事業場に係る申請を行う事業者
イ 物価高騰等要件
原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%ポイント以上低下している事業者
※「%ポイント(パーセントポイント)」とは、パーセントで表された2つの数値の差を表す単位です

■特例措置
特例事業者のうち、物価高騰等要件に該当する場合に限り、以下の設備投資に係る費用を助成 対象とすることができます。 (生産向上等に資する設備投資等)
・乗車定員7人以上人又は車両本体価格 200 万円以下の自動車及び貨物自動車等
・パソコン、タブレット、スマートフォン等の端末及び周辺機器(新規購入に限る。) など


4)活用事例(飲食業)

飲食業 11名
■課題・・一度に2食分の 配膳しかできない。
より多くの配膳をするため、配膳ロボットを導入を検討。
■9人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を60円引き上げた。
 助成金額上限 230万円
■配膳ロボット  250万円
■助成金額 250万円×3/4=1,875,000円受給<助成金額上限 230万円
■配膳ロボットの導入により、5人必要だった配膳業務が4人でできるようになり生産性が向上した。

5)活用事例(製造業)

建設資材卸売業 5名
■課題・・荷物の運搬や積み下ろし作業に時間がかかっていた。作業効率が悪かった。
■2人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を60円引き上げた。
 助成金額上限 160万円
■フォークリフト  300万円
■助成金額 300万円×3/4=2,250,000円>助成金額上限 160万円
■助成金受給額 160万円
■一度に大量の重量物等を運ぶことができ、作業時間が短縮した。

6)その他導入事例

調理器具・パン発酵機・冷凍冷蔵庫・経理システム 工程管理システム 生産管理システム・
フォークリフト・特種用途自動車類・改修等による レイアウト変更・
ベルトコンベア・ミシン等

*必ずしも、この設備機器の申請が通るわけではございません。

助成金の受給には事前に計画書の届出が必要です。
弊所では、働き方や助成金活用のコンサルティング・就業規則の見直し等を行っております。
詳細はお気軽にお問い合わせください。










この記事を書いた人

太田裕子Yuko Ohta

社会保険労務士。助成金を活用しながら、女性活躍支援・生産性向上等の働き方改革のサポートが強み。安心安全な環境づくりで働く人の最高のパフォーマンスを引き出し、組織の業績を上げていく状態に導きます。

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