地方企業が抱える最大の課題の一つが、採用の難しさです。人口の減少や若年層の都市部への流出により、採用競争がますます厳しくなっており、従来のフルタイム雇用に依存する採用戦略は限界を迎えつつあります。そんな中、副業人材の活用が地方企業の新しい採用手法として注目されています
1. 地方における採用の現状
帝国データバンクの調査によると、従業員の過不足状況について人手不足を感じている割合は正社員で51.4%、非正社員でも30.7%に達しています。政府調査では全体の72.4%が人手不足による経営への影響を感じており、そのうち 22.5%は、「大きな影響を及ぼしている」と回答しています。特に地方に拠点を置く企業においては、下記のような観点から大都市圏に比べて人材獲得の厳しさは深刻化しています。
●人口減少
地域の人口が減少し、労働市場の規模自体が縮小している。
●若年層の都市部への流出
学生や若手社員が、都市部の就職先を選びやすく、地元に残りにくい。
●給与・待遇競争力の低下
都市部と比べ、給料やキャリアの選択肢が少ない。
こうした原因により、人手不足に陥った企業においては事業所の閉鎖、営業時間の短縮化、既存の財・サービスの提供削減等といった既存事業の縮小を強いられている現状があります。また、後継者の確保や育成が追いついていないため、技術やノウハウが十分に伝承されておらず、こうした影響が、自社の会社経営に影響を及ぼしている可能性があることも厚労省証左では指摘されています。
参照:人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)|帝国データバンク
参照:人手不足が企業経営や職場環境に与える影響について|厚生労働省
●人口減少
地域の人口が減少し、労働市場の規模自体が縮小している。
●若年層の都市部への流出
学生や若手社員が、都市部の就職先を選びやすく、地元に残りにくい。
●給与・待遇競争力の低下
都市部と比べ、給料やキャリアの選択肢が少ない。
こうした原因により、人手不足に陥った企業においては事業所の閉鎖、営業時間の短縮化、既存の財・サービスの提供削減等といった既存事業の縮小を強いられている現状があります。また、後継者の確保や育成が追いついていないため、技術やノウハウが十分に伝承されておらず、こうした影響が、自社の会社経営に影響を及ぼしている可能性があることも厚労省証左では指摘されています。
参照:人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)|帝国データバンク
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2. 副業人材とは?属性や就労先について解説
このような現状において注目されているのは副業人材の活用です。ここでは副業人材の定義や属性傾向について詳しく説明します。
副業人材とは?
副業人材とは、主たる生計を維持する正業を持ちつつ、勤務時間外に他の企業において就労する人材を言います。ダブルワークや勤務時間が2社で同等であるような働き方や、雇用ではなく業務委託契約(委任または準委任、請負契約)によって仕事をする場合もここに含まれます。
副業希望者は増加傾向、特に高齢者が増加をけん引
副業を希望する人は増加傾向にあり、政府調査によると2022年の副業者数は332万人と大幅に増加しています。10年前の数字と比較すると約100万人の増加であり、広く副業者が増えていることを示しています。この10年間の副業者数の増加をけん引しているのは65歳以上の高齢者で、正業とする企業や自営業などの稼得所得が薄れる中、副業による収入で家計を補填しようとする考えが見られます。
世代で見ると、30代では正業が正社員、副業先は自営業や非正規という就労スタイルが一般的です。正業先の業種は学術研究・専門技術サービス業や情報通信業の人が多く、こうした専門技能を活かしたコンサルティングに従事しているようです。この層を獲得していくためには、採用において裁量権を持たせたり実績獲得につながるような案件の提案などが鍵になっていくでしょう。
40代~50代では正業・副業先がともに非正規である女性就労者が目立ちます。これはパート就労を複数掛け持ちしているためと考えられ、この層を獲得する場合は地理的に勤務可能な範囲での就労を提示すること、勤務シフトの柔軟性を訴求するなどの施策が求められます。
また、副業先としては農業や医療・福祉業界などが多く挙げられ、人手不足の目立つ業種での就労が多く選ばれています。これはもともとが人手不足の業界であるために提示される時給が同一エリア内で相対的に高くなること、短時間でも就労がしやすい、シフトの自由が比較的ききやすいなどの理由により選ばれているものと考えられます。
参照:急増する「副業者数」の分析|株式会社第一生命研究所
世代で見ると、30代では正業が正社員、副業先は自営業や非正規という就労スタイルが一般的です。正業先の業種は学術研究・専門技術サービス業や情報通信業の人が多く、こうした専門技能を活かしたコンサルティングに従事しているようです。この層を獲得していくためには、採用において裁量権を持たせたり実績獲得につながるような案件の提案などが鍵になっていくでしょう。
40代~50代では正業・副業先がともに非正規である女性就労者が目立ちます。これはパート就労を複数掛け持ちしているためと考えられ、この層を獲得する場合は地理的に勤務可能な範囲での就労を提示すること、勤務シフトの柔軟性を訴求するなどの施策が求められます。
また、副業先としては農業や医療・福祉業界などが多く挙げられ、人手不足の目立つ業種での就労が多く選ばれています。これはもともとが人手不足の業界であるために提示される時給が同一エリア内で相対的に高くなること、短時間でも就労がしやすい、シフトの自由が比較的ききやすいなどの理由により選ばれているものと考えられます。
参照:急増する「副業者数」の分析|株式会社第一生命研究所
3.副業人材の活用メリット
副業を希望する副業人材はフルタイム雇用に代わる柔軟な労働力として、地方企業に大きなメリットをもたらします。ここでは代表的なメリットを紹介します。
●スキルの補完
都市部での経験や専門スキルを持つ副業人材が、リモートで業務に参加することで、企業の成長に貢献できます。また、採用する人材もすでにその業界・スキルを活用した実績のある人材から選択することが可能です。
●コスト効率化
直接雇用のフルタイム社員と比べて、必要な時期に必要なスキルを柔軟に活用できるため、コスト削減が期待できます。また、業務委託契約を活用することで保険料負担など企業のコスト負担が軽減します。
●新たな視点やネットワークの導入
副業者は異なる企業文化や業界の知識を持っており、企業に新しいアイデアやネットワークをもたらすことができます。自社だけでは気が付かない業務の効率化、暗黙知の明文化など副業者とのコミュニケーションを通じた改善が期待できます。
●スキルの補完
都市部での経験や専門スキルを持つ副業人材が、リモートで業務に参加することで、企業の成長に貢献できます。また、採用する人材もすでにその業界・スキルを活用した実績のある人材から選択することが可能です。
●コスト効率化
直接雇用のフルタイム社員と比べて、必要な時期に必要なスキルを柔軟に活用できるため、コスト削減が期待できます。また、業務委託契約を活用することで保険料負担など企業のコスト負担が軽減します。
●新たな視点やネットワークの導入
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4.副業人材の活用デメリット
副業人材を活用する場合にもデメリットがあります。ここでは副業人材を受け入れる企業が考慮しておくべきデメリットについて代表的なものを解説します。
労働時間管理の複雑化
副業人材は正業を持っているため、雇用によって業務に従事させる場合は正業との労働時間の通算処理が必要になります。労働者本人が望んで行う副業であったとしても労基法に定める1日8時間、1週40時間の法定労働時間の枠組みや法定時間外労働の上限規制(単月100時間、複数月平均80時間までの時間外労働にとどめるという規制)は適用されるため、これに抵触しないよう労働時間の管理をする必要があるからです。
副業先は採用時点で正業があることを把握できる可能性が高いため、正業における労働時間を聞き取り、労働基準法を遵守する必要があります。
なお、業務委託契約など雇用によらない場合はこの限りではありません。
副業先は採用時点で正業があることを把握できる可能性が高いため、正業における労働時間を聞き取り、労働基準法を遵守する必要があります。
なお、業務委託契約など雇用によらない場合はこの限りではありません。
人材コストの増加

副業先での就労において、当所から副業先での就労が法定時間外労働になる場合、募集時給単価の1.25倍で賃金を支払う必要があります。そのため、正業がない労働者を雇用する場合に比較すると人材コストは増加することになります。
なお、労働時間管理の項目と同様に業務委託契約など雇用によらない場合はこの限りではありません。
なお、労働時間管理の項目と同様に業務委託契約など雇用によらない場合はこの限りではありません。
秘密保持や競業のリスク
他の企業で就労している労働者から業務上の秘密が漏洩したり、競合他社での業務に従事することで自社の利益が損なわれるリスクがあります。このため、企業は副業者に対して秘密保持義務や競業避止義務を徹底しなければならず、情報管理が難しくなることがあります。
社員の健康管理の負担増加
複数の仕事を掛け持つことで、副業労働者自身が過労状態に陥る可能性が高まります。企業は正業・副業先を問わず労働者の健康状態を適切に把握し、必要に応じて休暇や健康管理の措置を取る必要があるため、健康管理の負担が増えることがあります。
5.副業人材活用の留意点
副業人材の活用を行う場合にはいくつかの留意点があります。特に組織としての受け入れ態勢を整えることが不可欠です。以下の点に注意が必要です。
副業者に関する就労ルールの策定
副業人材に適用される社内ルールを整備し、就業規則や規程として整備します。特に正業との関係において予定した業務に従事することができない場合の対応や秘密保持、営業機密などの観点から開示可能な情報の選定基準、情報漏洩のリスクがある場合にどのような対応を取るかを具体的に定めるとよいでしょう。
暗黙のルールの言語化
地方企業では、長年の慣行や暗黙の了解が多く存在することが少なくありません。これらのルールを副業者が理解しやすい形で言語化し、組織全体で共有することが、円滑な業務進行に繋がります。
適切な副業者との契約書の整備
副業人材の労働契約時も雇用契約書、業務委託契約書などの整備を行います。また、雇用にて副業塵埃を就労させる場合は雇用条件通知書の発行も必要です。業務内容や期待する成果についても書面にて合意し、目線を合わせてから受入れるとよいでしょう。
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6.副業を前提とした組織改革の重要性
地方企業が今後も持続的に成長するためには、従来のフルタイム採用に固執せず、副業という新たな働き方を受け入れるための組織作りが不可欠です。就業規則や労働契約の整備、そして企業文化の言語化を進め、副業者が安心して働ける環境を提供することが、これからの採用戦略の重要なポイントとなります。
村井社会保険労務士事務所の副業人材関連サービス

当事務所では副業の解禁から受入に関する規程の整備まで実績がございます。また、伴走支援については関連法人(一般社団法人移住者人材バンク)にて副業人材の採用・定着支援を行っており、一気通貫した施策フォローが可能です。
是非お問合せください。
一般社団法人移住者人材バンク
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