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放デイに社労士の労務顧問は必要?活用できる7つの場面と顧問料金

放デイに社労士の労務顧問は必要?活用できる7つの場面と顧問料金

放デイに社労士の労務顧問は必要?

平日・学校休業日のシフト、送迎、記録作成、処遇改善、休職・復職、職員指導など、放課後等デイサービス特有の労務課題と社労士の活用方法、顧問料金を紹介します。

小規模な放デイにも労務顧問は必要?

放課後等デイサービス(以下「放デイ」)の経営者や管理者の方から、次のようなご質問を受けることがあります。

「職員が10人程度の放デイでも、社労士と労務顧問契約を結ぶ必要がありますか」
「社会保険の手続きは自分たちでできています。社労士には、ほかに何を相談できるのでしょうか」
「問題が起きたときだけ、スポットで相談すれば十分ではないでしょうか」

もちろん、すべての放デイに労務顧問が必須というわけではありません。しかし、放デイには、一般企業とは異なる労務管理上の難しさがあります。

平日と学校休業日で勤務時間が変わるほか、利用児童の送迎、支援前の準備、支援記録、保護者対応、職員会議、研修など、どこまでが労働時間なのか分かりにくくなりがちです。

さらに、児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、専門職、送迎担当者などの職種があり、常勤職員とパート職員が混在します。人員配置を維持しながら、年次有給休暇や育児・介護休業、職員の休職などにも対応しなければなりません。

職員間の人間関係、管理者による指導、保護者等からのハラスメント、メンタルヘルス不調といった問題もあります。

こうした問題について、社労士は「トラブルが起きた後に呼ぶ専門家」ではなく、日頃から労務管理を一緒に整える相談相手として活用できます。

本記事では、放デイが社労士と労務顧問契約を結ぶことで、どのような支援を受けられるのか、村井社会保険労務士事務所の具体的な活用事例と顧問料金を紹介します。

放デイの労務管理が難しくなりやすい理由

平日と学校休業日で働き方が変わる

放デイでは、学校のある日と土曜日、祝日、長期休暇などで、サービスを提供する時間が異なります。

平日は午後から利用児童を受け入れ、学校休業日は朝から受け入れる事業所も多いでしょう。そのため、職員の始業・終業時刻や必要な人員も日によって変わります。

年間を通して同じ勤務時間で運営しにくいため、次のような問題が起こりがちです。

・雇用契約書に記載した勤務時間と実際のシフトが異なる
・学校休業日に勤務時間が延びる
・パート職員が契約時間を超えて働いている
・シフト作成後の変更が多い
・休憩時間を設定していても、実際には取得できていない
・休日出勤を代休だけで処理している

変形労働時間制を導入している放デイもありますが、就業規則に制度を書くだけで適正に運用できるわけではありません。事前に勤務日と労働時間を特定するなど、制度に応じた運用が必要です。

多機能型事業所では、複数サービスをまたぐシフト管理が必要になる

放デイ単独ではなく、児童発達支援などを併設する多機能型事業所もあります。たとえば、午前中は未就学児を対象とする児童発達支援、午後は就学児を対象とする放デイを実施し、同じ職員が時間帯によって両方の業務を担当するケースです。

このような事業所では、施設全体として職員数が足りているかだけでなく、それぞれの時間帯に、各サービスで必要となる職種と人員を配置できているかを確認しなければなりません。

労務管理の面でも、次のような問題が生じやすくなります。

・午前と午後で担当するサービスが変わる
・児童発達支援から放デイへ切り替わる時間帯に、申し送りや準備が集中する
・サービスごとに勤務実績を管理する一方、労働時間は法人全体で把握する必要がある
・一方のサービスで欠員が出ると、もう一方の職員配置やシフトにも影響する
・送迎時間とサービスの切替時間が重なり、休憩を確保しにくい
・職員ごとに担当業務や勤務時間が異なり、雇用契約の内容が実態と合わなくなる
・複数の事業所を兼務する管理者や専門職に業務が集中する

特に注意したいのは、サービスごとの人員配置と、職員の労働時間管理は、分けて確認する必要があるという点です。

事業運営上は児童発達支援と放デイの勤務を分けて記録していても、同一法人との雇用契約に基づいて働いている職員については、両方の勤務を合わせて労働時間を管理しなければなりません。一方のサービスで所定時間を超えて働いた分を、もう一方のサービスとは無関係な時間として扱うことはできません。

また、「午前の児童発達支援が終わってから、午後の放デイが始まるまで」を一律に休憩時間として扱っていても、その時間に記録作成、準備、会議、送迎などを行っていれば、実際には休憩とはいえません。

多機能型事業所では、サービスごとの人員配置だけでなく、職員一人ひとりについて、どの時間帯に、どのサービスで、何の業務を行うのかを整理したシフトを作成することが重要です。事業を拡大したときに従来の勤務ルールをそのまま流用するのではなく、雇用契約、就業規則、シフト、勤怠管理を一体として見直す必要があります。

送迎や記録作成が労働時間から漏れやすい

放デイでは、利用児童への直接的な支援だけでなく、多くの付随業務が発生します。

たとえば、次のような時間です。

・支援開始前の準備
・学校や自宅への送迎
・送迎車両の点検や清掃
・利用児童の乗降確認
・支援終了後の記録作成
・職員間の申し送り
・個別支援に関する打合せ
・保護者対応
・職員会議や研修

これらの業務を事業所の指示によって行っている場合、原則として労働時間として扱う必要があります。

「支援が終わった時刻」を職員の終業時刻にしていても、その後に記録や片付けが必要であれば、実際の業務は終わっていません。

また、残業を申請制としていても、申請がなければ当然に労働時間から除外できるわけではありません。管理者が職員の業務を把握し、時間外の記録作成などを黙認していた場合には、未払い残業代の問題になる可能性があります。

職種や雇用形態が多様である

放デイでは、児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員、看護職、送迎担当者など、さまざまな職種が働いています。

正社員だけでなく、契約社員やパート職員、学生アルバイトを組み合わせて運営している事業所も少なくありません。

その結果、資格手当、役職手当、職務手当、処遇改善に関する手当などが複雑になりやすく、次のような問題が起こります。

・同じ仕事をしているのに手当が異なる
・手当の支給基準を管理者が説明できない
・雇用契約書と給与明細で手当の名称が違う
・児童発達支援管理責任者を管理職として扱い、残業代を支給していない
・パート職員だけ昇給の基準が決まっていない

放デイにおける管理者や児童発達支援管理責任者という立場と、労働基準法上の「管理監督者」は同じものではありません。役職名だけを理由に、残業代の支払対象から外すことはできません。

人員配置と職員の休暇・休業を両立させなければならない

放デイでは、必要な人員を配置しながらサービスを提供する必要があります。

その一方で、職員には年次有給休暇、育児休業、介護休業、子の看護等休暇などを取得する権利があります。病気やメンタルヘルス不調によって、長期の休職が必要になる場合もあります。

「その職員が休むと配置が足りなくなる」という運営上の事情があるからといって、職員の休暇や休業を一律に認めない対応はできません。

一方、管理者だけがすべての穴を埋め続ければ、今度は管理者が疲弊します。

採用、職員の育成、複数業務を担当できる体制づくり、休職者への対応などを、問題が起きる前から考えておく必要があります。

こども家庭庁も、障害児支援について、こどもの権利、発達支援、家族支援、地域支援、虐待防止などを含む段階的な人材育成の必要性を示しています。

利用児童への支援と職員の安全確保が求められる

利用児童の行動には、その時の状況や障碍特性など、さまざまな背景があります。その背景を理解し、本人に合った支援方法を検討することは、放デイの重要な役割です。

一方で、職員が蹴られる、叩かれる、物を投げられるなどの状況が続いても、「支援職だから仕方がない」として、個人の対応力や我慢に任せてしまうケースがあります。

利用児童の行動を安易にハラスメントと決めつけることは適切ではありません。しかし、障碍特性を理解することと、職員が危険な状況に耐え続けることは別の問題です。

事業所として、次のような体制を整える必要があります。

・どのような状況を管理者へ報告するのか
・事故やヒヤリハットをどのように記録するのか
・一人で対応させてはいけない場面は何か
・職員の配置や環境をどう見直すのか
・保護者や関係機関といつ連携するのか
・被害を受けた職員をどのようにフォローするのか

こども家庭庁は、放課後等デイサービスガイドラインのほか、障害児支援の安全管理に関するガイドラインなどを公表しています。

放デイが社労士の労務顧問を活用できる7つの場面

1.採用時の雇用契約を整える

放デイでは、採用時に「児童指導員」「保育士」「送迎担当」などの職種を示していても、実際には複数の業務を担当してもらうことがあります。たとえば、利用児童への支援だけでなく、送迎、清掃、教材準備、支援記録、保護者対応などを担当するケースです。

これらが通常の業務に含まれるのであれば、採用時に具体的に説明しておくことが、入職後のミスマッチ防止につながります。

社労士には、次のような相談ができます。

・労働条件通知書・雇用契約書の作成
・正社員、契約社員、パート職員の区分
・担当業務と業務内容の変更範囲
・勤務場所と異動の可能性
・平日と学校休業日の勤務時間
・資格手当、役職手当、処遇改善に関する手当
・試用期間中の労働条件
・有期契約の更新基準
・副業・兼業の取扱い

「必要に応じてその他の業務を命じる」とだけ書くのではなく、放デイで実際に発生する仕事を示すことが重要です。

2.シフト、残業、休憩を見直す

放デイの労働時間管理では、就業規則、雇用契約書、シフト表、タイムカード、給与計算を一緒に確認する必要があります。

社労士には、次のような点を相談できます。

・現在のシフトが雇用契約や就業規則と合っているか
・1か月単位の変形労働時間制が適切に運用されているか
・平日と学校休業日の勤務時間をどう定めるか
・送迎、記録、会議、研修を労働時間に含めているか
・職員が実際に休憩を取得できているか
・休日出勤時に振替休日と代休のどちらで対応するか
・残業の申請・承認ルールが実態に合っているか
・パート職員が契約時間を超えて働いた場合にどう対応するか

残業を減らすために必要なのは、申請を厳しくすることだけではありません。
支援、送迎、記録、保護者対応など、実際に必要な業務を所定労働時間内に終えられるシフトになっているかを確認する必要があります。

3.処遇改善と賃金制度を整理する

処遇改善に対応するため、複数の手当を設けている放デイも少なくありません。しかし、制度改正のたびに手当を追加していくと、賃金制度が複雑になります。

・職員によって手当の名称や金額が異なる
・誰に、何を基準として支給するのか説明できない
・雇用契約書と給与明細の記載が一致していない
・基本給と処遇改善に関する手当の関係が分からない
・昇給や昇格の基準が明確ではない
・処遇改善計画と実際の支給方法が一致していない

社労士は、障害児通所支援の指定申請や報酬請求そのものを専門とする資格ではありませんが、処遇改善を原資として支給する賃金について、雇用契約、賃金規程、給与計算、職員への説明との整合を確認することは、社労士が支援できる分野です。

また、キャリアパスを整える場合は、単に経験年数や役職を決めるだけでなく、次の点を明確にする必要があります。

・どのような仕事ができることを求めるのか
・どのような役割を担えば次の段階へ進めるのか
・誰がどのような基準で評価するのか
・昇格した場合に賃金がどう変わるのか
・評価結果を本人へどのように説明するのか

処遇改善を、単に賃金を配分するための制度ではなく、職員の成長と定着につながる仕組みにするという視点が大切です。これらのキャリアパスや賃金制度を就業規則、賃金規定に落とし込むことも社労士の業務範囲内ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

4.休職・復職やメンタルヘルス不調に対応する

放デイでは、利用児童や保護者への継続的な対応、職員同士の連携、送迎時の安全確保など様々な対応が求められます。

そのため、メンタルヘルス不調で休職した職員が復職するときには、「本人が働きたいと言っているか」だけでなく、実際の業務を安全に行えるかを確認しなければなりません。
たとえば、次のような判断が必要です。

・欠勤を年次有給休暇として処理するのか
・いつから休職に移行するのか
・診断書に何を記載してもらうのか
・休職期間をいつまでとするのか
・休職中の社会保険料をどう徴収するのか
・復職の可否をどの情報に基づいて判断するのか
・短時間勤務や業務軽減を行うのか
・一人での送迎や利用児童対応を任せられるか
・ほかの職員への業務集中をどう調整するのか

本人への配慮は必要ですが、「できる仕事だけを担当してもらう」といった対応は、ほかの職員との業務分担や公平性の問題につながります。こうした場合に、社労士にご相談いただけると就業規則、診断書、医師の意見、実際の業務内容を整理し、復職までに本人と事業所が確認すべき事項を明確にすることができます。複雑な労働問題にも対応できる社労士と労務管理を整えていくことは、事業の持続的な運営にとって重要であるといえます。

5.問題行動のある職員への指導を整理する

放デイの管理者からは、「注意するとパワハラと言われそうで、どこまで指導してよいか分からない」という相談も寄せられます。特に同業他社で経験がある職員については、良くも悪くもそれが行動基準となってしまい、自社のやり方と齟齬をきたしてしまうということもよく見られます。

しかし、必要な指導をしないままにしておけば、利用児童の安全や支援の質、ほかの職員の負担に影響します。たとえば、次のようなケースは、明確に指導が必要な状況といえます。

・遅刻や欠勤を繰り返す
・支援記録を作成しない
・申し送りを行わない
・送迎や安全確認のルールを守らない
・個別支援計画や事業所の支援方針に沿った対応をしない
・利用児童や保護者、同僚に不適切な言動をする
・注意を受けても同じ行動を繰り返す
・自分の業務をほかの職員に任せたままにする

このような場合でも、管理者の印象だけで「問題職員」と判断することは適切ではありません。社労士は、事実確認、指導記録、改善期間の設定、配置転換、懲戒処分などについて、段階に応じた対応を助言します。

目的は、すぐに職員を辞めさせることではありません。必要な指導と改善機会を設け、それでも改善が見られない場合に、次の対応を検討できる状態をつくることです。

6.ハラスメントや職員間のトラブルに対応する

放デイでは、利用児童への支援方針をめぐって、職員間の意見が対立することがあります。

「本人の意思をもっと尊重すべきだ」
「安全のためには一定の制限が必要だ」
「その対応では、職員が疲弊してしまう」

いずれも支援をよくしたいという思いから出た意見であっても、議論の中で相手の人格を否定したり、特定の職員を孤立させたりすれば、職場環境の問題になります。

管理者の指導についてハラスメントの申告があった場合も、「業務上の指導だから問題ない」「本人が傷ついたからハラスメントだ」と、最初から結論を決めるべきではありません。具体的な言動、業務上の必要性、言動の態様や継続性、就業環境への影響などを確認する必要があります。

社労士には、次のような対応を相談できます。

・ハラスメント相談窓口の整備
・相談を受けた後の初動対応
・関係者への聞き取り項目の作成
・事実関係の整理
・就業規則に基づく対応
・相談者や行為者へのフォロー
・再発防止策の策定
・管理者・職員向けの研修

ハラスメントに該当するかを判断するだけでなく、相談者が再び安心して働けるか、行為者にどのような改善を求めるか、事業所の仕組みに何が不足していたのかまで考えることが重要です。

7.他拠点、別業態展開に合わせて労務管理を整える

放デイを開設した当初は、経営者や管理者が職員一人ひとりの働き方を把握できるかもしれません。しかし、職員や事業所が増えると、口頭の約束や管理者ごとの個別対応では管理できなくなります。

次のようなタイミングは、社労士へ相談し、労務管理を見直す機会です。

・初めて職員を採用する
・常時使用する職員が10人以上になる
・2か所目以降の放デイを開設する
・児童発達支援など別のサービスを始める
・管理者や児童発達支援管理責任者を新たに任命する
・管理者へ採用、シフト、指導の権限を委ねる
・事業所ごとに異なる勤務ルールを統一する
・法人本部と各事業所の役割を整理する

開設時に作成した就業規則があっても、現在の勤務時間、休日、賃金、手当、休職制度などと異なっていれば、実際のトラブルには対応できません。

社労士の労務顧問を活用すれば、事業規模や働き方の変化に合わせて、継続的に規程と運用を見直すことができます。

放デイにおける社労士の活用事例

以下は、村井社会保険労務士事務所に寄せられた相談のうち、個人や事業所を特定できないよう一般化した事例です。

活用事例1|複雑化していた処遇改善に関する手当を整理・改善

ある放デイでは、制度改正や職員からの要望に対応するたびに、新しい手当を設けていました。

その結果、職員ごとに手当の名称や金額が異なり、管理者も「なぜこの職員にはこの金額を支給しているのか」を説明できなくなっていました。雇用契約書、賃金規程、給与明細でも手当の名称が統一されておらず、処遇改善に関する計画と実際の支給方法にも分かりにくい部分が生じていました。

そこで、手当の支給方法に問題がないか、職員へどのように説明すればよいかについてご相談がありました。

労務顧問としての対応

まず、全職員の基本給と手当を一覧にし、それぞれについて次の点を確認しました。

・何を目的として支給している手当か
・対象となる職員は誰か
・支給額をどのように決めているか
・毎月固定して支給するのか
・欠勤や休職があった場合にどう扱うか
・雇用契約書や賃金規程にどのように記載されているか
・給与明細の名称と一致しているか

そのうえで、資格、役割、経験、勤務状況など、何に対して支払う賃金なのかを整理しました。また、整理した内容に基づいて、賃金規程と雇用契約書の見直しを提案し、職員へ制度を説明するための文書も作成しました。

対応後の変化

手当の支給基準が明確になり、管理者が職員から質問を受けた場合にも説明しやすくなりました。
採用時にも、現在の賃金だけでなく、資格取得や役割の変化によって賃金がどのように変わるのかを具体的に伝えられるようになりました。

活用事例2|未払い残業代の計算と勤怠管理

ある放デイでは、利用児童への支援が終了した後に職員が記録を作成していましたが、シフトは支援終了時刻までしか設定されていませんでした。

職員会議や研修についても、勤務時間として扱う場合と扱わない場合があり、管理者によって対応が異なっていました。

退職を申し出た職員から、「これまでの記録作成や会議の時間について、残業代は支払われないのか」と質問されたため、どこまで遡って確認し、どのように対応すべきかについてご相談がありました。

労務顧問としての対応

まず、次の資料を確認しました。

・タイムカードなどの勤怠記録
・シフト表
・支援記録の作成・更新時刻
・職員会議や研修の開催記録
・業務連絡のメールやチャット
・残業申請の記録
・給与明細と残業代の支払状況

これらの資料を基に、実際にどのような業務が、どの時間帯に行われていたのかを整理しました。

訴訟や労働基準監督署への申告に発展するリスクも踏まえ、必要な期間について労働時間を遡って確認し、未払いとなっている可能性がある残業代を計算しました。その結果を事業所へ説明し、必要な精算と本人への説明方法を検討しました。

あわせて、今後同じ問題が起きないよう、次の運用を整えました。

・記録作成に必要な時間を含めてシフトを組む
・会議や事業所が参加を求める研修を労働時間として扱う
・残業が必要になった場合の申請・承認方法を統一する
・管理者が実際の退勤時刻を確認する
・申請がないことだけを理由に労働時間から除外しない

対応後の変化

過去の勤務実態を確認し、必要な精算と説明を行うことで、問題の長期化を防ぎました。
また、記録作成に必要な時間を含めてシフトを組むようにしたことで、「支援終了時刻=職員の終業時刻」としていた従来のずれも解消されました。

活用事例3|一部の職員に偏っていた業務分掌の見直し

ある放デイでは、送迎を担当できる職員が限られており、特定の職員に送迎業務が集中していました。

道路状況や保護者対応によって事業所への帰着が遅れても、シフト上の終業時刻は変更されず、帰着後の車両確認や記録の時間も明確にされていませんでした。

また、交通事故、車両の不具合、送迎の遅延などがあった場合に、誰へ、どのような順序で報告するのかも決まっていませんでした。

職員から送迎業務の負担について不満が出たことをきっかけに、送迎に関する労働時間と業務分担を見直したいとの相談がありました。

労務顧問としての対応

まず、送迎前の準備から、送迎終了後の業務までを一連の流れとして確認しました。
そのうえで、次の内容を整理しました。

・送迎業務を担当する職員の範囲
・運転免許証の有効期限などの確認方法
・運転経験や健康状態の確認
・送迎前後の車両点検
・利用児童の乗車・降車・所在確認
・保護者への引渡し方法
・送迎時間と付随業務の労働時間管理
・帰着が遅れた場合の勤怠処理
・事故やヒヤリハット発生時の報告手順
・特定の職員に負担が集中しないシフト

また、労働条件通知書に送迎業務が明記されているか、送迎を担当する職員に必要な説明や教育が行われているかも確認しました。

対応後の変化

送迎業務の範囲と報告手順が明確になり、事故や遅延が発生した場合に、職員が一人で判断を抱え込む状況が減りました。

帰着後の車両確認や記録も労働時間として扱うことで、シフトと実際の勤務時間のずれも見直されました。送迎業務が一部の職員に偏らないよう、担当者の育成とシフトの調整も進めることができました。

活用事例4|実地指導での労務関係書類の不備の改善

ある放デイでは、自治体による実地指導の際、職員の労働条件通知書や雇用契約書の内容と、実際の勤務状況が一致していないとの指摘を受けました。

たとえば、雇用契約書には放デイでの勤務のみが記載されていましたが、実際には併設する児童発達支援の業務も担当していました。また、平日と学校休業日で勤務時間が異なるにもかかわらず、その取扱いが労働条件通知書に十分に反映されていませんでした。

事業所からは、指摘を受けた書類をどのように修正すればよいか、ほかにも同様の不備がないか確認したいとのご相談がありました。

労務顧問としての対応

実地指導で示された指摘事項を確認したうえで、書類の文言だけを修正するのではなく、雇用契約と実際の働き方が一致しているかを確認しました。

具体的には、次の書類と運用状況を照らし合わせました。

・労働条件通知書・雇用契約書
・就業規則・賃金規程
・職員名簿
・シフト表
・タイムカードなどの勤怠記録
・賃金台帳・給与明細
・資格手当、役職手当、処遇改善に関する手当
・職種ごとの業務内容
・児童発達支援など、併設サービスとの兼務状況
・平日と学校休業日の始業・終業時刻
・送迎、記録作成、会議、研修の労働時間管理

確認の結果、実地指導で指摘された職員だけでなく、ほかの職員についても、契約上の業務内容や勤務時間と実態にずれがあることが分かりました。

そこで、職員ごとの働き方に合わせて労働条件通知書を見直すとともに、複数のサービスを兼務する場合の業務内容や、勤務時間の変更範囲を整理しました。

また、書類を修正して終わるのではなく、今後、採用、契約更新、勤務形態の変更などがあった際に、誰が、どの書類を、どのタイミングで確認するのかという手順も定めました。

なお、人員配置基準や報酬算定など、障害児通所支援制度上の判断が必要な事項については、自治体への確認や、必要に応じて他の専門家との連携を行い、社労士は雇用契約、労働時間、賃金などの労務管理を中心に対応しました。

対応後の変化

実地指導で指摘された書類を修正するとともに、全職員の雇用契約と勤務実態を見直したことで、同じような不備が残ることを防ぐことができました。

また、平日と学校休業日の勤務時間、併設サービスとの兼務、送迎や記録作成などの業務範囲が明確になり、職員への説明もしやすくなりました。

放デイが社労士と労務顧問契約を結ぶメリット

問題が大きくなる前に相談できる

職員との問題は、ある日突然発生するように見えて、実際には小さな違和感や行き違いが積み重なっていることが少なくありません。

「注意しても記録を書かない職員がいる」という段階で相談できれば、指示内容、教育方法、記録の残し方を見直せます。

しかし、対応を先送りし、ほかの職員の不満が強くなってから退職勧奨や解雇を検討すると、取り得る選択肢は限られます。

労務顧問のメリットは、「未払い残業代を請求された」「解雇したい」という段階だけでなく、「この伝え方でよいか」「今のうちに記録を残すべきか」という段階から相談できることです。

放デイの状況を踏まえた助言を受けられる

同じ職員からの相談であっても、適切な対応は事業所によって異なります。

職員数、利用児童の状況、シフト、人員配置、就業規則、これまでの指導経過、ほかの職員への影響などを確認しなければ、具体的な対応は決められません。

継続的な労務顧問契約であれば、社労士が事業所の規程や職員構成、過去の対応を把握したうえで助言できます。相談のたびに、一から事情を説明する負担も軽減されます。

管理者が職員対応を一人で抱え込まずに済む

放デイの管理者は、利用児童への支援、人員配置、保護者対応、行政対応、送迎など、幅広い業務を担っています。

そこに職員の休職、ハラスメント、勤務態度などの問題が加わると、管理者自身が疲弊してしまいます。

労務問題には、一つの法令だけで答えが出ないものもあります。状況を整理し、法令上の制約と実務上の選択肢を一緒に検討する相談相手がいることは、管理者の負担軽減につながります。

規程と現場の運用を一致させやすい

就業規則があっても、実際の運用が異なっていれば、職員とのトラブルを十分に防ぐことはできません。

たとえば、就業規則では残業を許可制としているのに、管理者が支援後の記録作成を日常的に黙認しているケースです。

労務顧問である社労士は、規程だけでなく、雇用契約、シフト、勤怠、給与、職員への説明をつなげて確認します。

「規程にどう書いてあるか」と「実際にどう運用しているか」のずれを、小さいうちに修正できることも労務顧問のメリットです。

放デイが労務顧問の社労士を選ぶときのポイント

放デイの働き方を理解しているか

社労士にも、それぞれ得意分野があります。あらたに社労士と労務顧問契約を検討するときは、次のような働き方を理解しているかを確認するとよいでしょう。

・平日と学校休業日で異なる勤務時間
・常勤職員と短時間職員が混在するシフト
・学校や自宅への送迎
・支援前の準備や支援後の記録
・保護者対応
・処遇改善と賃金制度
・人員配置と休暇・休業の調整
・利用児童や保護者等への対応
・管理者や児童発達支援管理責任者の役割

すべての制度に即答できることだけでなく、分からないことを確認し、現場の実態を丁寧に聞き取ってくれるかも重要です。

就業規則を作るだけでなく運用まで相談できるか

就業規則や雇用契約書は、作成すること自体が目的ではありません。

管理者が内容を理解し、職員へ説明し、実際の問題が起きたときに使える状態にする必要があります。

「休職の申出があったときに、どの条文を使うのか」「職員を指導するときに、どのような手順を踏むのか」といった運用まで相談できるかを確認しましょう。

労務顧問の業務範囲が明確か

顧問契約の内容は、社労士事務所によって異なります。

契約前に、少なくとも次の点を確認しておくと安心です。

・電話、メール、オンラインなど、どの方法で相談できるか
・社会保険・労働保険の手続が含まれるか
・労働条件通知書などの作成が含まれるか
・給与計算が含まれるか
・就業規則の作成・改定が含まれるか
・助成金の申請に対応しているか
・ハラスメント調査や研修に対応できるか
・別料金となる業務は何か

料金の安さだけではなく、自事業所が必要とする支援が顧問料に含まれているかを確認することが大切です。

社労士が対応できる範囲を説明してくれるか

社労士が主に支援するのは、職員の採用、雇用契約、労働時間、賃金、社会保険、就業規則、職員対応などの人事労務分野です。

放デイの指定申請や報酬請求、法人の会計・税務などは、契約内容や専門分野によって対応範囲が異なります。

社労士だけで対応できない問題については、行政書士、税理士、弁護士などとの連携が必要になる場合もあります。

対応できることとできないことを明確にし、必要に応じてほかの専門家との連携を提案してくれる社労士を選ぶと安心です。

村井社会保険労務士事務所の労務顧問料金

村井社会保険労務士事務所では、事業所の規模や運営状況に応じて、次の顧問料金を設定しています。

従業員数 月額顧問料
30名未満 30,000円(税別)
30名以上 50,000円(税別)

複数の放デイや児童発達支援事業所などを運営している場合は、事業所数、職員数、必要な対応の範囲を確認したうえで、個別にご相談させていただきます。

顧問契約に伴う初期費用はありません。

顧問料に含まれる業務

月額顧問料には、日常的な労務相談に加え、月6点までの書類作成・届出等への対応が含まれます。

対象となるのは、社会保険・雇用保険の資格取得届や資格喪失届だけではありません。事業所の課題に応じて、たとえば次のような書類を含めることができます。

・社会保険・雇用保険の資格取得届、資格喪失届
・労働条件通知書・雇用契約書
・職員に制度変更を説明する文書
・職員への指導や注意に使用する文書
・休職・復職に関する通知書
・その他、日常の労務管理に必要な書類

どの書類を顧問業務に含めるかは、一律に決めるのではなく、事業所ごとに相談して決定します。職員の入退職が多い事業所と、雇用契約の整備や職員対応を重視したい事業所では、必要な支援が異なるためです。

単に社会保険や雇用保険の手続を代行するだけでなく、「今、この放デイに必要な書類は何か」を一緒に考えられることが、当事務所の労務顧問の特徴です。

別料金となる業務

次の業務については、原則として月額顧問料とは別に費用をいただきます。

・就業規則や各種規程の全面的な作成・改定
・助成金にかかる書類作成・申請代行
・顧問契約の範囲を超える個別業務
・その他、通常の顧問業務とは別にまとまった対応が必要となる業務

別料金となる業務については、必要な作業内容と費用を事前にご説明し、ご了承をいただいたうえで着手します。

村井社会保険労務士事務所が大切にしていること

村井社会保険労務士事務所では、放デイから相談を受ける際、法令上正しいかだけでなく、実際の現場で運用できるかを大切にしています。

就業規則を整備しても、管理者が内容を理解していなければ、職員への説明や個別対応には使えません。

また、職員とのトラブルが起きたときに、経営者と職員のどちらか一方を最初から悪者にしても、問題は解決しません。

指示は明確だったのか、必要な教育は行われていたのか、本人はどのように受け止めていたのか、ほかの職員や利用児童にどのような影響があったのかを、一つずつ整理する必要があります。
村井事務所では、特に次の点を大切にしています。

・法令と放デイの実態を照らし合わせること
・経営者、管理者、職員それぞれの立場を整理すること
・利用児童の尊厳と職員の安全・働きやすさを両立させること
・問題が起きた職員だけでなく、組織全体の仕組みを見直すこと
・就業規則、雇用契約、労働時間、賃金、職員対応を一体として考えること
・管理者が職員対応を一人で抱え込まない状態をつくること

労務管理の目的は、事業所を守ることだけでも、職員の希望をすべて受け入れることでもありません。

職員が安心して働き、必要な支援を継続して提供できる放デイをつくることが、利用児童への支援の質にもつながると考えています。

まとめ|放デイの労務管理を社労士と一緒に整える

放デイでは、平日と学校休業日のシフト、送迎、記録作成、処遇改善、職員の休職・復職、ハラスメント、職員指導など、さまざまな労務上の判断が必要になります。

それぞれの問題を個別に処理するだけでは、就業規則と実際の運用、賃金制度と給与、管理者の指示と職員の認識にずれが生じます。

社労士の労務顧問は、問題が起きた後に法的な結論を伝えるだけのサービスではありません。

「この雇用契約書でよいだろうか」
「送迎や記録の時間をどのように扱えばよいだろうか」
「この職員には、どのように注意すればよいだろうか」
「休職中の職員と何を確認しておけばよいだろうか」

このような小さな疑問の段階から相談できることが、労務顧問契約の大きな意味です。

村井社会保険労務士事務所の月額顧問料は、従業員数30名未満の場合は30,000円(税別)、30名以上の場合は50,000円(税別)です。初期費用はありません。

日常的な労務相談に加え、月6点まで、社会保険・雇用保険の届出、労働条件通知書、職員への説明文書などの作成・届出等に対応します。どの業務を対象にするかは、放デイの状況に合わせて相談のうえ決定します。

複数の事業所を運営している場合や、どのような支援が必要か分からない場合も、まずは現在の職員数、事業所数、困っていることをお聞かせください。

「現在の労務管理に問題があるか分からない」「労務顧問を依頼するほど相談があるか判断できない」という段階でも構いません。

放デイの雇用契約、就業規則、労働時間、賃金、職員対応などで気になることがありましたら、村井社会保険労務士事務所へご相談ください。












この記事を書いた人

村井 真子Murai Masako

社会保険労務士/キャリアコンサルタント。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所などでの行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。

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